向岩ルート完成

以前の記事「とっつき岬ルート完成」で、昭和基地からオングル海峡の海氷上を通って上陸ポイント「とっつき岬」から南極大陸に上陸するルートが完成したことを伝えました。その後、昭和基地からより近い上陸ポイントである「向岩」に向かってルートの整備を進め、9月1日、無事64次隊でも「向岩ルート」を完成させることができました。オングル海峡の結氷が遅れたため、例年より遅い完成となりました。

「向岩」に向けてルート整備作業を進める
撮影:JARE64 樋口和生(2023年9月1日)
「向岩」、「とっつき岬」ルートのイメージ
国土地理院25万分1南極地域地形図 リュツォ・ホルム湾を使用

この「向岩ルート」を利用すると、大陸上の内陸調査旅行の出発拠点「S16」まで、とっつき岬経由よりも約8km短いことから、基地とS16を行き来する際に、大きな時間短縮につながります。野外行動を計画するごとに、海氷や大陸上の氷の状況、雪上車の重量や橇の台数などによって通行するルートを選択する必要がありますが、2つのルートが整備され、安全に移動できることは本当にありがたいことです。

機動力のあるスノーモービルでルート整備に向かいました
撮影:JARE64 清水健太(2023年9月1日)
ハロ(日暈)の下で、ルートを整備する野外観測支援担当の隊員
撮影:JARE64 樋口和生(2023年9月1日)

昭和基地沖の海氷や南極大陸を覆う大きな氷・氷床は、猛吹雪や積雪の状況などにより毎年状況が変わります。そのため、前年の観測隊が作成したルートをそのまま利用することはできず、毎年安全性を確認した上でルートを完成させます。観測隊では大自然を相手に、安全第一で活動を進めています。

JARE64 白野亜実)