週末の景色

日本では秋の連休シーズンを迎えていますね。登山やキャンプなど、緑豊かな日本の自然のなかでゆっくりと休日を過ごされた方も多いかもしれません。9月の南極はまだ冬。昭和基地は雪と氷で覆われています。今回は、昭和基地の週末の景色をお届けしたいと思います。

昭和基地主要部と北の浦の海氷、遠くに氷山の蜃気楼が見える
撮影:JARE64 白野亜実(2023年9月16日)
蜃気楼により凍った水平線上に浮き上がって見える氷山
撮影:JARE64 清水健太(2023年9月16日)

9月14日に発生した太陽フレア※1の影響により、昭和基地では14日から16日にかけて時折爆発するように光るオーロラを見ることができました。

基地の西の空に広がるオーロラ
撮影:JARE64 白野亜実(2023年9月14日)
基地の南の空に広がるオーロラ 上の方には南十字星
撮影:JARE64 白野亜実(2023年9月16日)

11月下旬から始まる白夜期※2に向けてどんどん夜の時間が短くなっているため、オーロラが見られる期間は残りわずか。オーロラが出現しても雲に隠れてしまったり、晴れても月が昇ってくると空が薄明るくなってしまったり、風が強いと体感気温が低く凍えそうになったりと、オーロラ鑑賞に適した夜にはなかなか巡り会えません。あと何回、南極の空でオーロラに出会えるかわかりませんが寝不足にならない程度に精いっぱい楽しみたいと思います。

10日(日曜日)にはお餅つき、夕食につきたてのお餅をいただきました
撮影:JARE64 白野亜実(2023年9月10日)
お好みの具材でいただきます 調理隊員が作ってくれた鶏出汁に入れてお雑煮も
撮影:JARE64 白野亜実(2023年9月10日)
17日(日曜日)の夕食は隊員みんなでうどんを打ちました
撮影:JARE64 白野亜実(2023年9月17日)
コシがあって小麦の香り豊かなうどんがたくさん茹であがりました
撮影:JARE64 白野亜実(2023年9月17日)

日ごろ調理隊員が腕を振るってくれる料理も大好きですが、隊員みんなで笑い合いながら準備して、出来上がっていく夕食も格別です。昭和基地には杵やうす、麺切りカッターをはじめ、イベント時に使う特別な調理器具が揃っていて、観測隊の諸先輩方も同じように週末の時間を楽しんできたのだろうと思いを巡らせました。

来月10月下旬には65次隊の先遣隊が日本出発を予定していて、いよいよ南極の繁忙期である夏が近づいています。週末に養ったパワーで引き続き仕事に邁進したいと思います。

JARE64 白野亜実)

 

※1 太陽フレア…太陽の表面で起こる爆発現象。

※2 白夜期…1日中太陽が沈まない時期。南半球では、南緯約66.6度以南の高緯度地域で見られる。