歯科研修

8月24、25日に、第65次南極地域観測隊越冬隊の医療隊員である私、小田と、もう一人の医療担当である寺﨑隊員が、東京医科歯科大学附属病院で歯科研修をしてきました。
南極観測船「しらせ」には、歯科医師が同乗しているため、夏期間中は歯のトラブルが起きたとき相談することが可能ですが、越冬期間中は“歯科”医師が不在になります。隊員の歯のトラブルが起きたときは医師である医療隊員が歯科処置しなければなりません。日本国内では歯のトラブルに対して医師が歯科処置することはありません。
南極地域観測隊員は歯科を含む、厳しい健康診断を行い、治療が必要なことは治療をしてから、隊員になっています。ただし、健康診断の時は大丈夫であったとしても、その後、歯のトラブルが起きることがあり得ます。抜歯や研磨等の応急処置が必要であり、今回、医療隊員は南極の昭和基地にもある持ち運び可能な歯科治療ユニットを用いた歯科研修をしてきました。
また、南極で歯のトラブルが起きたとき、応急処置を行いますが、難しい症例に関しては日本国内の歯科医師に遠隔医療相談を行うことができます。ただし、遠隔医療相談を行うためにも、歯科医師との共通言語が大切であることを感じました。
そして今回の歯科研修を通して感じたことで、一番大切なことは“予防”だということです。
予防は歯磨き等のセルフメンテナンスがとても大切なことであり、隊員に歯磨き指導を行っていきます。
病気・ケガに関しても“予防”が大切です。
医療隊員は様々な状況を想定し、医療機器、医薬品を準備していますが、使用しないで無事日本に帰国できることを切に願っています。
まだまだ暑い日が続きますので、隊員を含め、熱中症にご留意ください。

(JARE65小田有哉)

持ち運び可能な歯科治療機器を用いた歯科処置研修
 撮影:JARE65 小田有哉(2023年8月24日)