第65次南極観測隊では、出発するまでの間に4回の全隊打ち合わせがおこなわれる予定です。前回から約1か月が経過し、2回目の打ち合わせ会が8月21日に行われました。
この期間に更新されたり新しく追加されたりした情報を共有し、また準備作業の進捗を見計らって次の段階での注意事項や、南極観測船しらせや昭和基地での滞在に備えて知っておくべきルールや環境など生活上についての注意事項がアナウンスされました。そこで今回の打ち合わせでの主な伝達事項について少しご紹介させていただきます。なお今回の打ち合わせでは、日本各地の所属機関でそれぞれ業務に就いていて、国立極地研究所に集合することが難しい隊員・同行者とも一緒に情報を共有できるように、オンライン会議ツールが利用されました。
まず橋田観測隊長から観測計画と運営体制の更新情報が通達された後、医療担当の小田隊員から出発前の健康維持と南極滞在中の管理上の注意点について。環境保全担当の高松隊員からは、南極滞在中に発生する廃棄物の処理方法について。輸送担当の千葉隊員からは、輸送物資の梱包作業手順について。そしてLAN・インテルサット担当の津町隊員からしらせ乗船中のインターネット接続と電子メールの利用環境について、等々の伝達がなされ、それぞれ隊員からの質疑が交わされました。
しらせ乗船中や昭和基地滞在中は、外部との交流が必要最低限なとても小さなコミュニティであり、食料や電力源、動力源はもちろん、多くのインフラ機能は事前に準備して帰国するまで自前で維持しなければならない閉鎖環境です。そして南極地域の調査研究では、地球環境の解明に重要な南極の自然環境に極力負荷を掛けないことに努めなければなりませんが、さりとて現地で活動する以上、負荷ゼロという訳にはいきませんし、また多忙を極める隊員自身の心身の健全性も維持しなければならず、難題が山積みと言えます。
広報隊員の印象として今回の打ち合わせは、こうした難題を抱える隊員たちが少しずつ消化できるよう配慮された、ちょっとした優しさのようなものを感じました(勘違い!?)。観測隊出発まで、あと95日のことでした。
執筆者:JARE65丹保俊哉