「昭和基地の発電を守る」の記事でも紹介しましたが、昭和基地では基地内にある発電機で発電し、観測や設営作業、隊員たちの生活に必要な電力を各所に送り届けています。今回は、昭和基地内に安定した電力を送り続けることがミッションである発電機制御盤担当の隊員の仕事について紹介します。
基地主要部の建屋のうち発電棟には常用ディーゼル発電機があり、最大出力300kVA(約240kW)の電力を作り出しています。また基地内には自然エネルギーを利用した太陽光発電(出力55kW)や風力発電(出力6.5kW)装置もあり、連携して昭和基地内に電力を供給しています。
発電機制御盤担当隊員は、制御盤の管理やメンテナンスのほか、発電機が電力を安定して供給できているか稼働状況を監視すると同時に、昭和基地内でどれくらいの量の電力を使用しているか常に確認しています。消費電力が大きい機器による観測を行う場合には、隊全体に節電の協力を呼びかけるなど細かな調整も行っています。
64次越冬隊で発電機の制御を担当する香月隊員に、どのような想いで仕事に取り組んでいるか尋ねたところ、「生活するうえで重要な電力を、絶やすことなく供給できるように努めています。」と真っ直ぐに答えてくれました。温かくて明るい屋内で生活していると、電力をはじめいろいろな資源が有限であることを忘れてしまいそうになりますが、こうした設営部門の隊員による不断の努力があってこそ快適に過ごすことができることをありがたく思い、節電の徹底を心に誓いました。
(JARE64 白野亜実)