福島ケルン慰霊祭

2月15日、透き通るような青空の下、64次越冬隊28名全員で福島ケルン慰霊祭を執り行いました。福島ケルンとは、1960年10月、第4次南極地域観測隊員として越冬中にブリザードの中遭難し、お亡くなりになった福島紳隊員の死を悼むために建てられた石積みの慰霊碑です。そこは福島隊員の姿が最後に確認された場所で、昭和基地主要部の管理棟から約100mのところにあります。

慰霊祭では、樋口越冬隊長が事故の経緯と併せて慰霊の辞を読み上げた後、隊員一人一人がケルンに合掌し黙祷を捧げ、福島隊員の冥福を祈るとともに、64次越冬隊の安全を祈願しました。樋口越冬隊長は慰霊の辞の最後に、「ここ南極では、危険はすぐ傍に潜んでおり、気を抜いた瞬間に魔の手が襲い掛かるということを肝に銘じ、一人一人が危険に対して敏感になり、お互い声を掛け合いながら注意し合って過ごして行ければと思います。」と話し、改めて安全に留意し活動することの大切さを諭しました。

越冬隊員一人一人、ケルンに手を合わせ、越冬期間中の無事故安全を祈願しました
撮影:JARE64 中村映文(2023年2月15日)

観測隊では、事故の教訓をもとに、昭和基地内のライフロープ範囲の見直し、外出制限令の整備など様々な安全対策が整備され、福島隊員の事故以降60年以上に渡って、隊員の死亡事故は起こっていません。しかしながら、この現状に甘んじることなく、常に高い安全意識を保ちながら活動し、越冬隊員28名誰一人欠けることなく、来年笑顔で家族のもとに帰ろうと心に誓いました。

(JARE64 白野亜実)