1月4日の観測隊ブログで紹介した通称「お魚チーム」の調査は、1月に入って いよいよ本格化しました。南極の海氷の下で生息している魚の行動範囲はどのあたりか 、何を食べているか、繁殖期はいつなのか、寿命はどれくらいなのか、など、魚の行動と生態を明らかにすることが目的です。そのためには、サンプルとなる魚を釣り上げなければいけませんが、海氷の厚さが約2.5mもあり、さらにその上に雪が1m以上積もっているため、海氷に穴を空けるだけでも一苦労です。
魚が釣れると、釣れた場所や日付などを記録し 、胃内容物などの分析を行います。お魚チームの河合隊員は「ショウワギスの中には大量の卵を食べている“卵食い”個体がいるのですが、彼らが誰の卵を食べているのかはわかっていません。帰国後、DNA解析により卵の正体を特定し、将来的にはどのような条件で卵食い現象が起こるのかまで明らかにしたいです。」と語ってくれました。
他にも、釣れた魚に発信機を装着して再び水中に放つことで、魚の行動範囲を調べたり、魚の餌となっているゴカイの一種など海底の生物を採取したり、海水中にただよう魚類の体液や排泄物由来のDNA(環境DNA)を調べるための採水を行ったりと、様々な調査に精力的に取り組んでいます。
(JARE64 山口真一)