海氷下の魚を探る②「お魚チーム」の調査が本格化

1月4日の観測隊ブログで紹介した通称「お魚チーム」の調査は、1月に入って いよいよ本格化しました。南極の海氷の下で生息している魚の行動範囲はどのあたりか  、何を食べているか、繁殖期はいつなのか、寿命はどれくらいなのか、など、魚の行動と生態を明らかにすることが目的です。そのためには、サンプルとなる魚を釣り上げなければいけませんが、海氷の厚さが約2.5mもあり、さらにその上に雪が1m以上積もっているため、海氷に穴を空けるだけでも一苦労です。

穴を空ける際は、人の背丈よりも大きなアイスドリルを使用します
撮影:JARE64 山口真一(2023年1月3日)
サンプルとなる魚を釣り上げました
撮影:JARE64 山口真一(2023年1月3日)

魚が釣れると、釣れた場所や日付などを記録し  、胃内容物などの分析を行います。お魚チームの河合隊員は「ショウワギスの中には大量の卵を食べている“卵食い”個体がいるのですが、彼らが誰の卵を食べているのかはわかっていません。帰国後、DNA解析により卵の正体を特定し、将来的にはどのような条件で卵食い現象が起こるのかまで明らかにしたいです。」と語ってくれました。

左:「卵食い」をしているショウワギス 右:釣れた場所や日付などを記録して、研究用サンプルとして日本へ持ち帰ります
撮影:JARE64 山口真一(2023年1月3日)

他にも、釣れた魚に発信機を装着して再び水中に放つことで、魚の行動範囲を調べたり、魚の餌となっているゴカイの一種など海底の生物を採取したり、海水中にただよう魚類の体液や排泄物由来のDNA(環境DNA)を調べるための採水を行ったりと、様々な調査に精力的に取り組んでいます。

左:腹腔内に発信機を装着したショウワギス。背びれ付近に個体識別のための外部標識をつけました 撮影: JARE64 市川光太郎(2023年1月17日)
右:採取された様々な底生生物 撮影: JARE64 黒田充樹(2023年1月26日)

採水の様子
撮影:JARE64 坪谷健太郎(2023年1月26日)

JARE64 山口真一)