昭和基地での物資持込み輸送完了

昭和基地では年間を通じて観測隊が観測・設営活動を行っていますが、それを支える燃料や物資の輸送は、年1回の「しらせ」接岸時に限られています。輸送する物資は、観測・設営、食糧、燃料など多岐に渡り、中には昭和基地で使用する雪上車や重機など大型のもの含まれます。昭和基地沖での輸送作業は、「しらせ」に搭載した物資の固定を解くことに始まり、慎重に「しらせ」から降ろされ、ヘリコプターによる航空輸送や雪上車による氷上輸送を経て、観測隊が基地側で受け取り、基地各所に配送されていきます。「しらせ」と観測隊の息の合った輸送オペレーションは、長年の協力により築かれたまさに神業です。
私は庶務・広報担当の仕事の一つとして、昭和基地側での荷受け作業に立ち会いました。前次隊や「しらせ」の方々の支援をはじめ、多くの方の協力を得て観測隊の活動が成り立っていることを再認識しました。これら輸送された燃料や物資を礎に、昭和基地を1年間維持し、次の隊に繋げていきたいと強く思いました。

優先空輸の様 第一便で荷降ろしされる「初荷」。63次隊員へ家族からの贈り物が入っている
撮影:JARE64 山口真一(2022年12月22日)
燃料輸送の様子。昭和基地貯油タンクから「しらせ」にホースを延ばし燃料輸送中
撮影:JARE64 白野亜実(2022年12月25日)
白夜の中、夜間に行われる氷上輸送の様子。車両のような大型物資は、航空機ではなく雪上車を利用して持ち込む
撮影:JARE64 白野亜実(2022年12月26日)
海上自衛隊のヘリで航空輸送 燃料や観測用のガスも持込む
撮影:JARE64 山口真一(2023年1月7日)
「しらせ」から観測隊宛ての応援メッセージの幕で飾られた航空輸送の最終便が到着。これで越冬に必要な物資が全て運び込まれました
撮影:JARE64 白野亜実(2023年1月13日)

(参考)
輸送実績(輸送量と輸送期間)
・輸送量:持込み物資(観測・設営、食糧、燃料) 合計1,123t
・輸送期間:

種類

期間

備考

燃料

ホース輸送

持込み

1225日、26日、27

・「しらせ」の燃料タンクと昭和基地貯油タンクをホースで接続して燃料を輸送

・その他、ドラム缶に入った燃料は「しらせ」搭載の ヘリコプターを利用して別の期間に実施

氷上輸送

持込み

12252627

コンテナ、雪上車等の大型物資を、気温が低く海氷や その上の雪が安定した夜間、雪上車を利用して実施

持帰り

1230日、12

航空輸送

持込み

1222日、23

16日、7日、12日、13

「しらせ」搭載のヘリコプターを利用して実施

持帰り

115日、16日、17

 

JARE64 白野亜実)