東経110度ラインでのモニタリング観測

「しらせ」はフリーマントル出港後、東経110度のラインをまっすぐに南下します。この航路上では、南緯40度から60度まで5度きざみで、計5点で船を止め、海洋観測を実施しています。この観測は、同じ地点で長期にわたって継続されており、重要なモニタリング観測と位置づけられています。

64次隊では、12月3日から7日にかけて、このモニタリング観測を計画しました。まずは、塩分・水温・深度や溶存酸素、pHを測るセンサーと、目的の深度で海水を採取するボトルを取り付けたCTD採水システムによって、海面から水連続深450 mまでの海洋構造データと海水サンプルを取得します。続いてノルパックネットによって、水深150 mから水面までの動・植物プランクトンを採取します。また、地点間を航走中は、CPR(連続プランクトン採取装置)を曳航してプランクトンの変動も調べます。

残念ながら南緯50度では荒天のため観測が中止となりましたが、その他4地点では観測を完遂するとともに、CPRも南緯55度から60度での曳航に成功しました。海洋観測の取りまとめを行う村上隊員は「ほぼ初対面の隊員も少なくない中、皆さんのチームワークのおかげで無事に観測を終えることができてホッとしています。復路もお願いいたします。」と話していました。

東経110度ラインでの観測は終了しましたが、今後も様々な観測を続けながら昭和基地へ向かっていきます。

CTD採水システムを投入する様子
撮影:JARE64 山口真一(2022年12月4日)
引き上げたCTD採水システムから得られた海水を容器に取り分けている様子。これらは様々な化学分析 に用いられます。
撮影:JARE64 山口真一(2022年12月3日)
ノルパックネットを投入する様子
撮影:JARE64 山口真一(2022年12月4日)
ノルパックネットで採取したプランクトン
撮影:JARE64 白野亜実(2022年12月7日)
投入される前のCPR
撮影:JARE64 山口真一(2022年12月6日)
南緯60度まで曳航され、これから引き揚げられるCPR
撮影:JARE64 山口真一(2022年12月7日)

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