昭和基地の周辺には、アデリーペンギンのルッカリー(営巣地)が多くあります。観測隊では、毎年ルッカリーを回って、ペンギンセンサス(個体数および営巣数の調査)を行っています。5次隊から続いている歴史のある調査です。これまでのデータから、ペンギンの個体数が一番増えるのが11月15日、営巣数が一番増えるのが12月1日であることが分かっています。また、アデリーペンギンは氷や雪の上ではなく、地面の上に巣を作ります。南極大陸沿岸の露岩域や島など11か所へ、11月12~18日(個体数調査)、11月28~12月4日(営巣数調査)の2回、隊員総出で手分けして調査に行ってきました。
昭和基地を出て海氷上を雪上車やスノーモービルで目的地を目指します。
ルッカリー周辺では、ペンギンが一列に並んで、海氷上を歩いたり、お腹で滑ったりしています。おうちに帰るのか、はたまた、餌を取りに出かけるのでしょうか。翼をパタパタさせてバランスをとりながら歩く様子はとてもユーモラスです。
ルッカリーは、海氷から上がりやすく、比較的たいらな地面にありました。大きさはさまざまでしたが、小さいルッカリーでも100羽以上、大きいルッカリーになると2500羽のペンギンがいました!
動き回るペンギンを、カウンターを使って数えます。
アデリーペンギンの巣作りでは、周辺から石を嘴で咥えて運んできて、卵が安定しやすいよう、円形に並べます。中には隣の巣から石を盗んでくる不届き者のペンギンも。
でき上がった巣では卵を温めるペンギンが見られます。卵の上にうつ伏せになると、背中の黒いところだけが見えるので、まるで岩みたいです。
アデリーペンギンは下腹部に毛の生えていない部分(抱卵斑)があり、そこで卵を包んで温めていました。時々立ち上がって、大事そうに、嘴で卵を回します。
ルッカリーを見渡せる丘の上には、トウゾクカモメがでんと居座っていました。ペンギンの卵や弱った親ペンギンを狙っているのです。
雛が孵るのはあと2週間くらい先になるようです。無事にたくさんの雛が育ってくれるとよいですね。
(JARE63 澤友歌)