11月2日から1泊2日でアイスオペレーションを実施しました。観測隊では、毎年越冬期間の終盤に国内での広報活動などのために持ち帰る”南極の氷“を採取しており、その作業をアイスオペレーションと呼んでいます。場所は8月に下見しておいたハムナ氷瀑で行いました。(下見の様子はこちらの記事もご参照ください)
現地に到着したら、まずは氷の上で滑らないように各自アイゼンを装着してから作業開始です。
作業は、電動のハンドドリルで氷を砕く者、段ボールに氷を詰めて重さを量る者、ガムテープで封をする者、採取場所から雪上車まで運ぶ者というように役割分担しながら進めました。
快晴で風もほとんどない絶好の作業日和で、当初2日かかる予定だった作業を1日で完了させることができました。氷を採取した日の夜は近くにある雪鳥沢小屋に宿泊し、2日目には,すでに昭和基地入りしている64次先遣隊がこれから調査する予定地周辺の状況を下見してから昭和基地へ帰投しました。
気温は氷点下であるとはいえ、日中の日差しは強く、採取して箱詰めされた氷を屋外に放置しておくとどんどん変質していきます。昭和基地へ帰投してすぐに、良好な状態で氷を保管するため、手空き総員ですばやく基地の冷凍庫へ搬入しました。
南極大陸に降り積もった雪は長い時間かけて押し固められて氷となります。氷の中には雪が降り積もった当時の数万年前の空気が閉じ込められており、水に浮かべると空気が弾ける音がします。広報イベントなどで“南極の氷”に触れる機会があれば、ぜひ体感してみてください。
(JARE63 馬場健太郎)