ラングホブデでのオペレーション

88日~9日に12日で南極大陸沿岸部のラングホブデと呼ばれる露岩域でのオペレーションに参加してきました。
今回のオペレーションの主な目的は、(1)昭和基地からラングホブデ露岩域までのルート工作、(2)ラングホブデ露岩域で行われる調査・観測の拠点となる「雪鳥沢小屋」の建物と小屋に設置された発電機・無線機などの点検と整備、(3)国内で学習用に学校へ配布したりするために用いられる“南極の氷”を採取する「アイスオペレーション」のための下見です。

6名の隊員が2台の雪上車に分乗し、初日はルート工作を行いながら「雪鳥沢小屋」を目指しました。

今回使用したSM40型雪上車。内陸旅行で使用する予定の食料ぞりを試験的に牽引していきました。
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月8日)
ルート工作。ルート標識の旗を設置して、雪上車が走行可能かどうかを確かめるために海氷に孔をあけて厚さを測定します。
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月8日)
雪鳥沢小屋の点検・整備。小屋に併設されたトイレ小屋が強風で倒れてしまっていたので、みんなで起こし直しました。
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月8日)
機械隊員による発電機の点検・整備
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月8日)
通信担当隊員による無線機の点検・整備
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月8日)

2日目は、ルート工作を行いながら、アイスオペレーションの候補地であるハムナ氷瀑の下見を行いました。南極大陸氷床はゆっくりと流動していて、数万年という長い年月をかけて内陸部から海へと流れ出しています。ハムナ氷瀑は、その氷の流れが、海岸部に露出した岩盤の狭窄部によって細く絞り込まれて、まるで滝のようになって落ち込んでいる特殊な場所です。実際の氷の動きは年に数メートルしかありませんが、その姿は南極の氷がダイナミックに動いていることを実感させてくれます。この壮観な光景をすぐそばで目の当たりにすることができるため、越冬隊の中でも人気のスポットとなっています。
南極大陸に降り積もった雪が長い時間かけて押し固められて氷となりますが、ここで採取した氷には、雪が降り積もった当時の数万年前の空気が閉じ込められており、水に浮かべるとピチピチと空気が弾け出る音がします。「環境保護に関する南極条約議定書」の国内担保法である「南極地域の環境の保護に関する法律」に基づき、鉱物(石や砂など)を持ち帰ることはできませんが、氷についての制限はないため、南極の氷は観測隊員が唯一南極から日本へ持ち帰ることのできるお土産にもなります。

ハムナ氷瀑をドローンで撮影。雪上車や人物と比べるとその雄大さがおわかりいただけます。
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月9日)
電動ハンマーを使って氷を採取
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月9日)
採取した氷。たくさんの気泡を含んでいるのが透けて見えます。
撮影:JARE63 馬場健太郎(2022年8月9日)

(JARE63 馬場健太郎)