スカーレンオペレーション

9月27日から10月1日にかけて、4泊5日でスカーレンオペレーションを実施しました。昭和基地付近の沿岸地域にはラングホブデ雪鳥沢小屋、スカルブネスきざはし浜小屋、そしてスカーレン居住カブースの3つの野外観測拠点があり、生物圏や地圏、気水圏、宙空圏などの観測に使われています。それぞれ昭和基地から約30km、60km、90km離れています。今回向かったスカーレンはルート上の海氷にタイドクラックやプレッシャーリッジ、凹凸などの難関ポイントがいくつもあり、これまでに到達できなかった越冬隊もあります。我々も事前に衛星画像などを確認し、十分にルートを検討したうえで現地に向かいました。

9月27日 昭和基地からスカーレン方面へのルート工作、スカルブネスきざはし浜小屋へ移動
当初の予定では9月26日からでしたが、あいにくのブリザードにより1日遅れで行動開始。基地から20km程離れると天気は快晴に。スカルブネスまではルートが開通していますが、この日は小屋に移動できる時間を考慮しつつ、さらにその先のスカーレンへの途中までルート工作を行いました。きざはし浜小屋へ到着した後は観測機器のメンテナンスを実施しました。

道中のルート旗のメンテナンスも行いつつ向かいます
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年9月27日)
スカルブネス きざはし浜小屋
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年9月27日)

 

9月28日 スカーレンを目指してルート工作、スカーレン居住カブースへ到着
行動2日目のこの日も快晴。7時から行動を開始しスカーレンを目指します。走るにつれ海氷の凹凸が大きくなり、プレッシャーリッジやタイドクラックも次第に増えてきました。しかし、今年の海氷状況は非常に良く、例年に比べ規模が小さいことから安全を確認したうえでスムーズにルート工作を進めることが来出ました。夕方にはカブースに到着しキャンプ体制の構築に入ります。宿泊はカブース、雪上車、テントにそれぞれ分かれます。この日は昭和基地でも63次隊で2番目の低温を観測している非常に寒い中の就寝となりました。夜間にはオーロラも見え南極らしい夜を過ごしました。

スカーレン目指して走ります
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年9月28日)
道中にはクラックがあり確認しながら走行します
撮影:JARE63 岩本 勉之(2022年9月28日)
スカーレン 居住カブースと雪上車、テント
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年9月29日)
オーロラも見えました
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年9月29日)

 

9月29日 観測機器メンテナンス・スカーレン氷瀑
午前中は観測機器のメンテナンスを実施しました。午後からはスカーレン氷河を見学し、氷河の雄大さに圧倒されました。昨夜に引き続き約-27℃の寒い状況ではありましたが引き続きテントやカブースで就寝し明日に備えます。

とても大きな氷河に圧倒されました
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年9月29日)

 

9月30日 スカーレンからラングホブデ雪鳥沢小屋へ移動
この日はスカルブネスへの移動を計画していましたが、予定を変更して基地に近いラングホブデまで移動することになりました。道中のタイドクラックやプレッシャーリッジの状態を再確認しつつ夕方に雪鳥沢小屋へ到着。昨夜までのテント宿泊組は小屋の暖房の偉大さを肌で実感しました。

移動中に彩雲を見ることができました
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年9月30日)
ラングホブデ 雪鳥沢小屋
撮影:JARE63 櫻庭 健吾(2022年10月1日)

 

10月1日 昭和基地へ帰還
行動5日目で無事に昭和基地へ戻りました。全行程約200kmの長旅でした。今回は1度のオペレーションで沿岸3拠点に滞在する非常に珍しい行程でしたが、トラブルもなくミッションもすべて完遂しました。

(JARE63 櫻庭健吾)