2月8日にしらせ搭載ヘリコプターの昭和基地最終便を見送ってから約10日が経ちました。63次越冬隊は、間も無く訪れる本格的な冬に向けた準備を着々と進めています。
2月9日午前、手空き総員で島内清掃を行いました。年間で雪解けが一番進んだ今の時期は、冬の間に雪で埋没していたゴミなどが姿を現すことがあり、今後到来するブリザードによって飛散しないように約1時間かけて昭和基地主要部周辺を清掃しました。かつてヘリポートがあった場所からは古い養生用のシートなどがでてきたりもして、皆で力を合わせて掘り出して片付けました。
2月11日には、夏期隊員宿舎の布団の入れ替えと清掃を行いました。2月1日に越冬交代して63次越冬隊員が夏期隊員宿舎から居住棟へ引っ越したときに新しい布団が支給されましたが、62次越冬隊員がこれまで使用していた布団はヘリポートで干した後、夏期隊員宿舎に運び込んで、古い布団と交換しました。夏期隊員宿舎は冬の間は閉鎖しておき、来シーズンに64次隊が昭和基地へ到着する前に再度稼働させます。
2月15日には、ドラム缶(1本200L)120本分の南極用低温燃料をリキッドコンテナ(1梱800L)30基に移し替えました。南軽(なんけい)と呼ばれる低温用燃料は、氷点下70度でも凍結しない特別な軽油で、雪上車等のディーゼルエンジンの燃料として使用するため日本国内からドラム缶に入れて「しらせ」で昭和基地まで運ばれますが、雪上車等への給油の利便性を向上させるためにリキッドコンテナへ移し替えます。
南軽を移したキッドコンテナは、残りのドラム缶とともに、翌16日にかけて冬期間中の集積場所となるヘリポートに移動させました。
しらせとの間で物資を氷上輸送する際に陸側の拠点となるコンテナヤードでは、越冬明けに持ち帰る予定の廃棄物等を入れたコンテナをフォークリフト等の重機を使って整理しました。南極では、吹雪のあとに建物や車両などの風下側にドリフトと呼ばれる雪の吹き溜まりができます。ドリフトの発生を防ぐために基地内の建物は車庫などを除いてすべて高床式になっており、コンテナヤードに置かれるコンテナも同様に、空のドラム缶を利用して高床式に置いていきます。
また、吹雪で視程が悪化したときの備えとして基地内にはライプロープが張り巡らされているほか、移動ルートや危険箇所、ならびに地中にケーブルが埋設されていることを示す、赤や青の旗竿が設置されており、古くなったライフロープの張り替えや旗竿の交換作業が野外観測支援担当の隊員によって行われています。
(JARE63 馬場健太郎)