1月13日、一般空輸が終了しました。これで、南極観測船「しらせ」で日本から運ばれた越冬に必要な物資の全てが昭和基地へと運ばれたことになり、輸送作業は持ち帰り物資の空輸を残すのみとなりました。
輸送量は観測物資57t、設営物資251t、燃料742t、食糧・予備食74tの合計1,124tに上ります。
ここでは、63次隊が昭和基地へ到着してから行われた持ち込み物資の輸送作業についてご紹介します。
1.優先空輸
昨年(2021年)12月16日、昭和基地から約5マイル(8km)の距離まで近づいた「しらせ」から、第1便のヘリコプターに牛尾隊長をはじめとする63次隊員と初荷を乗せて昭和基地へ降り立ちました。この日から12月18日まで、62次隊の食糧や、夏期間初期に観測・設営に必要な物資がヘリコプターで「しらせ」から昭和基地まで運ばれました。
2.バルク輸送(パイプライン輸送)
優先空輸を終了した「しらせ」は、12月19日に昭和基地沖から約350mの距離に接岸しました。接岸といっても昭和基地に岸壁はないため、昭和基地のタンクから燃料輸送用のホースを延ばして届く約1km以内の距離に「しらせ」が到達し、停泊することを接岸と呼んでいます。
12月18日に事前準備を行ったうえで、接岸した「しらせ」までホースを展張し、19日から21日まで3日間かけて「しらせ」の貨油タンクから昭和基地のタンクへ燃料を輸送しました。
3.氷上輸送
ヘリコプターで運べない大型の物資は、「しらせ」から昭和基地まで海氷上を運ばれます。現在は太陽が沈まない白夜の時期ですが、この氷上輸送は1日のうちで一番冷え込み、海氷が安定する夜間に行われます。
氷上輸送初日の12月19日には、63次隊で持ち込まれた新型雪上車などの大型・小型車両がクレーンで「しらせ」から海氷上へ降ろされ、自走するなどして昭和基地へ運ばれました。また、12月20日から23日まで、雪上車がけん引する橇に載せられてコンテナの輸送が行われました。
なお、12月24日から26日まで、廃棄車両等の大型廃棄物や12ftコンテナなど昭和基地から日本へ持ち帰る物資が氷上輸送されました。
4.一般空輸
1月10日から13日まで、優先空輸と同様に「しらせ」に搭載されたヘリコプターによる物資の空輸が行われました。主な搬入物資は、スチールコンテナ(越冬食糧等)、ドラム缶パレット(低温燃料、油脂類)、リキッドコンテナ(W軽油)、ヘリウムガスカードル等です。
13日の最終便で昭和基地へ運ばれたカードルには、輸送作業に協力して頂いた「しらせ」乗組員から63次越冬隊員に向けて激励のメッセージが添えられ、越冬交代に向けて決意を新たにしました。
(JARE63 馬場健太郎)