南極投票を実施しました

現在、日本国内では第49回衆議院議員総選挙が実施されていますが、南極・昭和基地でも「南極投票」制度を利用した投票が行われました。

通信室を投票所として使用しました
撮影:JARE62 金城順二(2021年10月27日)

南極投票は公職選挙法に定められた不在者投票制度の一つです。対象となるのは衆議院議員総選挙および参議院議員通常選挙で、越冬隊員は昭和基地からFAXを用いて投票することができます。

南極投票は日本に選挙区を持つ全隊員に権利がありますが、出発前に予め各隊員の選挙人名簿の登録がある市区町村の選挙管理委員会(選管)への申請が必要になります。その後、隊員から申請を受けた各選管から「南極選挙人証」が発行され、隊長が取りまとめて指定選管へ申請し、不在者投票用紙等の交付を受けます。この用紙は選挙が開催されるまで不在者投票管理者である隊長が保管し、選挙当日に選挙人である隊員へ交付されます。

隊長から投票用紙の交付を受ける隊員
撮影:JARE62 金城順二(2021年10月27日)

投票用紙を受け取った隊員は、所定の記載台で投票用紙に必要事項および候補者名、政党名を記入後、今回の南極投票の指定選管である東京都港区選挙管理委員会宛にFAXで送信しました。投票用紙は小選挙区選挙用と比例代表選挙用に分けられたA4判の用紙二枚で、FAX送信も投票者本人によって行われました。

投票用紙に記入する隊員
撮影:JARE62 金城順二(2021年10月27日)
FAX送信も隊員自身が行います
撮影:JARE62 金城順二(2021年10月27日)

投票に当たっては、FAX装置の操作を補助する隊員が立会人を務め、衛星通信回線を通じて一名ずつFAXで投票しました。国内の指定選管と基地との間では、投票の完了について電話連絡で確認が行われ、投票の完了が確認されると、投票用紙の原本を専用の封筒に封入しました。

投票用紙を専用の封筒に入れます
撮影:JARE62 金城順二(2021年10月27日)

この投票用紙の原本は、帰国後、指定選管に提出され処理されます。また、南極投票の結果は、指定選挙管理委員会から各人の選挙人名簿が登録されている選挙管理委員会へ通知されます。

南極投票は日本での選挙とは違い、複雑な手続きを必要とします。また、国内ではテレビやラジオ、新聞等で選挙公約等を容易に入手出来ますが、南極では入手できる情報が限られています。その分、「一票の重み」をより深く意識する制度だと感じました。

 

(JARE62 金城順二)