昭和基地での越冬中には、本業務のほかに「生活係」と呼ばれる係が全部で13種あります。今回はその中でも「パン・麺係」のための訓練を実施しましたので、その様子をお伝えします。
南極での厳しい生活の中で隊員たちの楽しみの一つは「食事」です。
美味しい食事を通して"こころ"と"からだ"をリフレッシュさせることができます。
10/14にベーカリーシステム研究所様でパン作りの研修をしていただき、調理隊員2名を含む5名で参加してきました。
研修ではパンができるまでの以下の工程を実習しました。
- 捏ねる(ミキシング)
パンの原料(小麦粉、イースト、水、塩など)をミキサーで混ぜます。
捏ねることでグルテンができ、粘性や弾力性が生まれます。 - 一次発酵
イースト(パン酵母)が生地に含まれた糖分を分解することで炭酸ガスが発生し、
パン生地が膨らみます。 - 形をととのえる(成形)
生地を適量に分割した後、“丸め”と呼ばれる作業を実施することで
生地の表面が張った状態にします。 - 二次発酵
生地温度が18℃まで上がっていることを確認し、
ホイロ(温度・湿度を保つ機械)に目安の大きさになるまで入れます。 - 焼く(焼成)
規定の温度・時間をセットして焼成します。
実際の昭和基地では“コンベクション”と呼ばれる熱風で焼き上げるオーブンを利用します。
自分たちの手で作ったパンはより一層美味しく感じました。
代表的なパンの他、最近流行りのマリトッツォ(イタリアのクリーム入りパン)やマヌルパン(韓国のガーリックブレッド)のレシピもいただきました。
パン生地も寄贈いただいておりますので、南極の昭和基地で隊員たちに焼き立てのパンを振る舞いたいと思います!
(JARE63 光野和剛、三井俊平)