昭和基地で行っている、オゾン全量観測について紹介します。
上空のオゾンは、生物に有害な紫外線から我々を守ってくれる役割を果たしています。
紫外線はUV-A、B、Cの3種類に分けられ、その中でもUV-Bは地上に届いて生物に影響を与えます。
地上に届くUV-Bの強さと、上空のオゾン量には密接な関係があるため、オゾン量を定常的に観測することは、とても大切なことなのです。
南極・昭和基地のオゾン全量観測は、1961年に観測が開始されてからデータが蓄積されており、1982年春にオゾンホールを初めて観測したということは、よく知られています。
オゾン全量は、太陽の光を装置に取り入れ、オゾンに吸収されやすい紫外線と、オゾンに吸収されにくい紫外線の強さの比を測定することで、算出することができます。
しかし、太陽が雲に隠れるときや、太陽の高度が低いときは太陽の光が弱く、正確な値を測定できなくなります。さらに南極では、極夜の時期になると太陽は出てくることもありません。そこで、空から散乱された光や、月の光も利用することで、一年を通じてオゾン全量を測定しています。
南極では、春(9~10月)に、オゾン全量が少なくなるオゾンホールが例年観測され、その動向が注目されています。昭和基地のオゾン全量の変動を知るうえで、極夜期の月光観測は大切なデータとなります。
今年のオゾン全量は、どのように推移していくのでしょうか。
62次隊でも着実に観測データを蓄積していきたいと思います。
(JARE62 定常気象)