低くなる太陽

越冬交代から100日以上が過ぎ、5月に入りました。

太陽の高度は低くなり、冬に向かっているのを感じます。

真昼でも低い太陽
撮影:JARE62 新居見 励(2021年4月28日)

 

夏には白夜をはじめて経験し、これから極夜を迎えるにあたり、昭和基地の太陽の運行について理解しようと、計算してみました。

日の出・日の入り時刻の1年間の変化(昭和基地)

1年間の日の出・日の入りを計算すると、今は極夜に向けて、日に日に日照時間が短くなっていることが分かります。そして5月が終わると太陽は出なくなり、極夜を迎えます。5月1日現在の日の出は、9時過ぎ。日の入は15時半ころ。この時刻が極夜に近づくにつれてどんどん近づいていきます。

 

北中時刻付近の太陽高度角の年変化(昭和基地)

次は、太陽の高度が最も高い時刻(北中時刻/12:20分頃)の太陽高度角について、1年間の変化を計算してみました。夏の間、40°以上の高さに登っていた太陽が、現在は、北中時でも約6°までしか上がらなくなってしまいました。

 

太陽方位角・高度角の日変化

今度は、1日の中での太陽の変化を計算してみました。太陽方位角・高度角を計算してみると、太陽は北東からのぼり、北西に沈むということが分かり、実際にそのようになっています。

 

北東の空から昇りゆく太陽
撮影:JARE62 新居見 励(2021年4月20日)
北西の空に沈みゆく太陽
撮影:JARE62 新居見 励(2021年4月20日)

 

これを立体的な図に表してると、このようになります。

 

南極特有の、極夜・白夜についても図を描いてみました。

極夜

極夜では、太陽が地平線の下で回りますが、太陽高度角が最も高くなる北中時でも地平線を上がりません。

 

白夜

白夜では、太陽高度角が最も低くなる南中時でも、太陽がまだ地平線より高い位置にあることが分かります。

実際に経験しつつ、改めて学んでみると、より理解が深まっていくのを感じました。
これからも南極の空は、私たちにどのような姿を見せてくれるのでしょうか?

昭和基地の夜の空
撮影:JARE62 新居見 励(2021年年4月9日)

JARE62 新居見 励)