昭和基地の西のはずれにある半球型のレドーム。ここには降水レーダーのアンテナが収められています。
このレーダーは、降雪時の昭和基地から南極大陸にかけての上空の様子を観測することができます。ブリザードと呼ばれる猛吹雪時に、強風がどの程度の高さまで吹いているのか、どのように変化して昭和基地に迫ってくるのかなど、ブリザードの発生から消滅までの吹雪の粒子の分布や移動速度を測定することが可能です。
現在は、北東方向にアンテナを回転させ、半径4km以内の観測を行っています。アンテナは3秒に1回転するため、3秒ごとに新たなデータを取得。刻々と変化する降雪の様子をとらえることができます。
ブリザードは非常に強い風を伴うため、空から降る雪と地吹雪とが混じって視程が非常に悪くなります。人間の目では、降雪と地吹雪とを見分けることはできません。
しかし、レーダーは人間の目には見えない降雪の状況を明らかにしてくれます。
3月18日(木)~19日(金)のブリザードの際に得られた観測結果からは、高度500~2000m付近で風速40m/s近くの風が吹いていたこと、上空から地上への空気の流れを調べると、3m/sを超える下降流や、乱流が発生している層が存在していることがわかりました。今後、観測する範囲をさらに広げ、よりはっきりと降雪をとらえることができるよう、微調整を行っているところです。
(JARE62 柴田 和宏)