62次隊初のブリザード

318日(木)~19日(金)にかけて、62次隊が越冬を開始して初めてブリザードとなりました。ブリザードの基準は以下の表のとおりで、各階級のブリザードはそれぞれの基準を満たした段階で階級が決まります。

階級 風速 視程(※) 継続時間
A級 25m/s以上 100m未満 6時間以上
B級 15m/s以上 1km未満 12時間以上
C級 10m/s以上 1km未満 6時間以上

※視程:見通しの距離

18日の夕方から風が強くなりはじめ、1950分には平均風速10m/s以上、視程1km未満とブリザードの条件を満たす気象状況になりました。その後も風はさらに強まり、風速15m/sを超えて視程も低下したため、2130分には62次隊として初めて外出注意令が発令されました。外出注意令が発令されると、不要不急の外出は認められず、止むを得ず外出する際も、複数人で行動し、出発、到着時に通信室への連絡を行う必要があります。

18日には、荒天により、通常実施している光学観測も停止し、昭和基地内には外灯が灯りました。その外灯すらブリザードの中でははっきりと視認する事すら容易ではありません。

 

風速10m/s程度、視程2km以下の時の第一居住棟の様子(基本観測棟から)
撮影:JARE62 蓜島 宏冶(2021年3月18日)
風速20m/s超、視程100m未満の時の第一居住棟の様子(基本観測棟から)
撮影:JARE62 蓜島 宏冶(2021年3月18日)
基本観測棟1F入り口からの様子
撮影:JARE62 蓜島 宏冶(2021年3月18日)

 

外出注意令が出ている間、外での作業が出来ない隊員達は、室内でできる作業を協力して行います。19日は多くの隊員が旗竿作りに励んでいました。この旗竿は、今後野外でのルート工作等で使われるもので、この日は300本ほどの旗竿が作成されました。

旗竿作りの様子。竹竿に赤い布を巻き付けてテープでとめます
撮影:JARE62 稲村 友臣(2021年3月19日)

最終的に、このブリザードは18日から19日の夕方までで継続時間が12時間以上となり、最大風速25.4m/s、最大瞬間風速30.9m/sB級ブリザードとなりました。

ブリザード後の20日には、各施設の点検や除雪が行われました。これから本格的な冬を迎え、何度もこの作業を繰り返していくことになります。

オーバースライダーの隙間から吹き込んだ雪
撮影:JARE62 鈴木 聖章(2021年3月20日)
重機を使っての除雪も行われました
撮影:JARE62 赤松 澪(2021年3月20日)

 

(JARE62 蓜島 宏冶)