日々、空を観察していると、さまざまな空気の動きを読み取ることができます。
先日の夜、昭和基地から美しい夕日が見えたときを例に、紹介します。

撮影:JARE62 新居見 励(2021年2月23日)
【太陽柱が見える】

撮影:JARE62 新居見 励(2021年2月23日)
太陽柱が見えるということは、上空に六角柱の形をした氷晶が整列して浮かんでいるということ。なので、上空の風に乱れが少なく、強くないのだろうと推測できます。
【雲から落ちている雪が、「く」の字になっている】

撮影:JARE62 新居見 励(2021年2月23日)
雪が別の方向に流されていることから、上空の風向きがくの字の上半分と下半分で違うことが分かります(上の写真の矢印)。
なお、破線の上下で空の色合いが変わっているのは、破線の下は地球が影になり太陽の光が届かなくなっているためと考えられます。
この写真を撮影したのは、2月23日の20時35分。
24日午前3時(昭和基地の時間)高層気象観測のデータを見てみましょう。
まず、上空の風速を見てみると、1~3m/s と非常に風が弱いことが分かります。
太陽柱を作り出す氷晶がきれいに浮かんでいたということと対応しています。
風向を見てみましょう。
風向は上空1100m付近で北東から南よりに大きく変わり、風向は上空の雪の動きに対応していることが分かります。
【夕焼けが美しい】

撮影:JARE62 新居見 励(2021年2月23日)
天気はたいてい、西から東へと変わっていきます。
それは日本でも南極でも変わりません。
地球の自転方向は同じだからです。
西の空が美しいということは、翌日はいい天気になるのだろうなと予測できます。
翌日の24日、昭和基地の上には青空が広がりました。

撮影:JARE62 新居見 励(2021年2月24日)
空を注意深く観察すると、そこから様々な自然の動きを読み取ることができます。
これは南極でも、日本でも同じこと。
ともに空を眺めてみませんか。
(JARE62 新居見 励)