海底圧力計(OBP : Ocean Bottom Pressure gage)の回収

南極観測隊では、地圏モニタリングの一環として、第46次隊より毎年St.BPという観測点(南緯6650分、東経3750分、水深約4,500m)に海底の圧力を観測する機器を設置し、その地点の潮汐や地球環境変動などによる海底圧力変動を連続的に調べています。第49次行動からは、装置(OBP)を設置して約2年後に「しらせ」にて回収されています。今回は新たなOBPの設置と第60次隊で投入したOBPの回収作業を行いました。

海底圧力計外観
撮影:JARE62 久野光輝(2021年1月23日)

 

下側のエンジ色部分が鉄製の錘(約60kg)となっていて、回収時には「しらせ」船上から送信される“切り離し信号”と呼ばれる音響信号を受信すると錘部分を切り離し、オレンジ色の筐体内のガラス玉の浮力によって海面まで浮上してきます。

撮影:JARE 62 大友康太朗(左)、正治徹一(右)(2021年1月23日)

回収作業では“トランスデューサー”(上右写真)と呼ばれる音波を発信する機器を水面下に沈め、「しらせ」船上から“切り離し信号”を送信(上左写真)します。

 

海面浮上後のOBPの様子。水深約4,500mの地点から約2時間かけて浮上してきます。
撮影:JARE62 大友康太朗(2021年1月23日)
海面浮上後のOBPの様子。「しらせ」甲板上からフック付きのロープを投げて、写真の矢印で示したロープに引っ掛ける事で「しらせ」に引き上げます。
撮影:JARE62久野光輝(2021年1月23日)
回収直後のOBP
撮影:JARE62 大友康太朗(2021年1月23日)

 

今回回収したのは第60次隊で設置したOBPで、本体にはその当時の隊員のさまざまなメッセージが記載されていました。2年間冷たい海でのお勤めご苦労様でした。

(JARE62 久野光輝)