天からの手紙

 

「雪は天から送られた手紙である。」

 

雪の結晶の研究で有名な日本の物理学者、中谷宇吉郎先生が残された有名な言葉です。

12月30日、大晦日が目の前に迫った空に、雪が舞い始めました。

観測のために外に出て、階段を登ろうとしたところ、ふと足下に白い塊を見つけました。

それが雪だというのは分かっていたのですが、よくよく見ると、とても美しい構造を持っていることに気づきました。

 

雪の結晶1
分厚い樹枝状の結晶
撮影:JARE62 新居見 励(2020年12月30日)

 

雪の結晶2
かかしのような形をした結晶
撮影:JARE62 新居見 励(2020年12月30日)

 

雪の結晶3
可愛らしい扇形の結晶
撮影:JARE62 新居見 励(2020年12月30日)

 

雪の結晶4
樹枝状の結晶
撮影:JARE62 新居見 励(2020年12月30日)

 

雪の結晶5
ハート形の結晶。どのようにしてできたのか不思議です。
撮影:JARE62 新居見 励(2020年12月30日)

 

どれも直径は5mmほど。これほど大きくて美しい結晶があちこちに落ちている・・・という経験は初めてで、ただ驚き、ポケットに入れていたカメラで撮影をしました。

これらの美しい雪の結晶は、水蒸気が氷になる「昇華」という現象で氷晶が成長したものであることが知られています。

また、結晶の形状は、気温と水蒸気の量によって違ったものができ、おおよその分類はされています。

しかし、雪の結晶に2つとして同じものはありません。どれもが個性を持っていて、素敵な形をしていました。

美しい結晶をじっくりと見られた時間はほんのわずかでしたが、南極の年末の空から今年の多忙な日々を労う、心が温まる手紙を受け取ったような気分になったひとときでした。

  

(JARE62 新居見 励)