「雪は天から送られた手紙である。」
雪の結晶の研究で有名な日本の物理学者、中谷宇吉郎先生が残された有名な言葉です。
12月30日、大晦日が目の前に迫った空に、雪が舞い始めました。
観測のために外に出て、階段を登ろうとしたところ、ふと足下に白い塊を見つけました。
それが雪だというのは分かっていたのですが、よくよく見ると、とても美しい構造を持っていることに気づきました。
どれも直径は5mmほど。これほど大きくて美しい結晶があちこちに落ちている・・・という経験は初めてで、ただ驚き、ポケットに入れていたカメラで撮影をしました。
これらの美しい雪の結晶は、水蒸気が氷になる「昇華」という現象で氷晶が成長したものであることが知られています。
また、結晶の形状は、気温と水蒸気の量によって違ったものができ、おおよその分類はされています。
しかし、雪の結晶に2つとして同じものはありません。どれもが個性を持っていて、素敵な形をしていました。
美しい結晶をじっくりと見られた時間はほんのわずかでしたが、南極の年末の空から今年の多忙な日々を労う、心が温まる手紙を受け取ったような気分になったひとときでした。
(JARE62 新居見 励)