東南極域エアロゾルの変動を調べるため、日本から昭和基地までの航路上でエアロゾル観測を実施しました。
エアロゾルは大気中に浮遊している微粒子のことで、日射の散乱や雲の特性変化等を通して地球規模で気候に影響を与えます。「しらせ」にはオリオールメーターという測器を搭載し、太陽光の散乱を測定することで地上から大気上端までのエアロゾルの総量を測定できます。
観測室内には、粒径5nm~100nm(ナノメートル)の粒子の数濃度を大きさごとに分けて連続的に計測する自動連続粒径分布計測装置も搭載しています。
また、エアロゾルの化学組成を調べるため、船外から取り込んだ大気をフィルターに通してサンプリングも実施しています。PM0.1からPM10までの粒径の試料を5段階に分けて補集します。サンプリングは概ね2日に1回実施し、採取したサンプルは国内に持ち帰って分析します。
これらの観測を通して、海中の生物が放出するガスなどが、海洋のどの場所でどのようにして粒子になり、どれだけ出ているのか、大陸由来のエアロゾルがどのように輸送されるのか、エアロゾルがどのように地球温暖化へ寄与するのか、などを解き明かしていきます。
(JARE62 赤松 澪)