船内講習

1120日に日本を出発してから、およそ20日が経とうとしています。

「しらせ」は赤道を超えて、南緯50度付近を航行中です。

南緯50度付近を航行中の「しらせ」艦橋から
撮影:JARE62 大友 康太朗(2020年12月8日)

 

乗船中観測隊では、南極での観測・設営作業に向けて、各部門の隊員が講師となり、様々な講習(表1参照)を実施してきました。

 

  • 表1 乗船中に実施した講習
・南極の気象と安全、雲の観測の仕方
・野外観測の安全対策
・通信機の使用方法と安全
・南極における医療・応急処置
・昭和基地での夏生活・越冬生活
・夏設営作業の危険と安全対策
・危険予知活動の概要と演習
・野外フライトの流れと注意点
・事故事例検討会

 

船内講習の様子1
撮影:JARE62 金城 順二(2020年11月23日)
船内講習の様子2
撮影:JARE62 赤松 澪(2020年11月25日)
船内講習の様子3
撮影:JARE62 赤松 澪(2020年11月25日)

 

言うまでもなく、南極は常に危険と隣り合わせの場所です。日本では専門家に任せる作業でも、南極では未経験者が作業せざるを得ないこともあります。そのような時でも、事故や怪我無く、安全に活動するために、自分の担当分野以外にも、様々な基礎知識を身に付けておく必要があります。

 

そのため、ただ講習を受けるだけでなく、過去に南極で起こった事故例を、初めて南極に行く隊員が一例ずつ取り上げて解説し、互いに意見を出し合いながら理解を深める事故事例検討会も実施されました。

過去に起こった事故や失敗は、我々にとっては非常に貴重な財産です。特に初めて南極に行く隊員にとっては、未知の世界で何に気を付けなければならないのか、どうしたら事故を無くせるのかを、深く考え、強く意識できる良い機会となりました。

 

講習中、船が大きく動揺する場面もあり、船酔いの隊員は大変でしたが、船内での講習をほとんど終え、いよいよ南極・昭和基地が目前に迫ってきました。講習や検討会で学んだことを、しっかりと意識し、南極での活動に向けて準備が進んでいます。

 

(JARE62 金城順二)