アイスオペレーション

南極大陸は、広大な氷におおわれています。この氷は少しずつ縁、南極大陸は周りを海に囲まれているので、つまりは海に向かって流れています。このような氷を大陸氷河と言います。あるいは氷床 (南極氷床と言った方が馴染むでしょうか。この氷床には周りよりも速く流れ、まるで川に見える部分があります。これを氷流と言いますが、地名としては「白瀬氷河」など「氷河」と呼ばれています。このような氷河の下流、海に流れ込んでいるところでは、氷床の氷が氷山として分離していきます。

昭和基地のある東オングル島の周りには南極氷床から流れ出た色々な形、大きさの氷山が所々に見られます。

南極大陸に降り積もった雪は長い年月をかけて圧縮されて氷になり、その中には当時の空気が閉じ込められています。もちろんその空気は南極氷床から流れ出た氷山の中にも含まれているのです。

125日、国内での広報活動用にその氷を採取するための通称アイスオペレーションに行ってきました。

今回は事前に、野外観測支援隊員の協力のもと、安全に近づけるなだらかで小さめの氷山を確認しており、この日はその野外観測支援隊員が同行して、安全に留意しつつ氷山に取りついて氷を採取しました。

 

作業はつるはしで、氷に含まれている空気を確認しながら手作業でダンボール箱に詰めていきます。

取れた氷に含まれている空気を確認する隊員
撮影:JARE61 吉井 聖人(2020年12月5日)
つるはしで氷山を削る隊員
撮影:JARE61 吉井 聖人(2020年12月5日)

 

中にはこんなに大きな塊がとれることも・・・

でも、残念ながらダンボール箱に入らないのでこの後小さく砕きました。

氷山からとれた大きな塊
撮影:JARE61 吉井 聖人(2020年12月5日)

最後は、採取した氷を詰めたダンボールを昭和基地に運んで溶けないように冷凍庫にしまいました。

越冬開始直後は一年分の食糧が詰まっていた冷凍庫も、10か月かけてほぼ空になっていました。その冷凍庫が一気に氷で満たされて、このアイスオペレーションはおしまいです。

今後、国内での広報活動などでこの氷を見た人たちが少しでも南極に興味を持ってもらえればと思います。

 

(JARE61 吉井 聖人)