第61次隊 第1回南極教室の実施

62日、岡山県新見市立新見南中学校で南極教室が実施されました。第61次隊としては、記念すべき第1回目となりました。

当初、2020年の南極教室は5月が6校、6月が3校、7月が4校、9月が6校の開催を計画しておりましたが、今年はコロナウィルスの影響で南極教室実施にあたり感染のリスクを回避した形での実施が条件となり、例年ならば国立極地研究所から機材準備や当日の進行を行うスタッフが出向いておりましたが、現地への人的支援は無く機材の貸し出しのみとなり、学校ですべて対応いただく形となりました。

更に国からの自粛要請に従い、南極教室の実施を断念せざるを得ない状況も重なり、5月予定の6校すべてと、6月以降もいくつかの学校で開催中止を余儀なくされました。

今回南極教室の開催が実現した岡山県新見市はコロナウィルスの感染者0人と、条件にも恵まれ、当初の予定では地域の小学校(新見南小学校)の56年生も合同で参加予定でしたが、規模の縮小を行った上で中学校のみの開催に変更し、新見市教育委員会と学校関係者の方々のご協力で実施することができ、第61次隊で実施する第1回目の南極教室となりました。

宙空圏一般研究観測担当 山本貴士(私)が、新見南中学校の前身、美郷中学校の卒業生という縁で同校での開催が実現しました。

極夜期に入った昭和基地の屋外は真っ暗で、当日は直前までオーロラが輝く、気温マイナス20度の寒空の下、羽毛服に身を纏い中継が繋がるのを待ちました。

日本時間の1430(昭和基地は830)衛星回線を通じて新見南中学校(全校生徒134名)からの元気な声が聞こえて南極教室が始まりました。

中継画面で見えた昭和基地の様子
極地研 広報室

簡単な自己紹介の後、「日本との時差が6時間の昭和基地は現在極夜に入っていて、太陽が一日中昇らないため、朝の830分でも星空が眺められます」と昭和基地の紹介から始まり、外気温や、オーロラなどの話を10分程度行ったところで昭和基地の紹介VTRを上映し、その間に管理棟内の食堂へと移動しました。

食堂では他の越冬隊員が見守る中、「北極と南極は何が違うの?」「南極に来て不便に感じたことはありますか?」「南極の不思議はどれくらい解明されましたか?」など20件ほどの質問が中学生からよせられ、質問に答える形で進行しました。

食堂での中継の様子
撮影:JARE61 吉井聖人(2020年6月2日)

「屋外からの中継」と「昭和基地の紹介VTR」と「質問コーナー」のトータル45分間の南極教室はあっという間に終わりの時間を迎え、無事に終了しました。

私を含め昭和基地の食堂に集まった越冬隊員は中学生からの元気な質問や回答に対する反応を微笑ましく聞き、日々の寒さや辛さを吹き飛ばすことが出来ました。

中継を見守る他の隊員たち
撮影:JARE61 吉井聖人(2020年6月2日)

越冬生活を終えて日本に帰った時に経験談を話す機会が有れば積極的に訪問したいと考えております。

新見南中学校の皆さんありがとうございました。

(JARE61 山本貴士)