「工事現場とアンテナ林」
初めて昭和基地に来た人はこのような感想を抱く人が多いみたいです。
自分もその中の一人でした。
それぐらい昭和基地には様々なアンテナが立っています。
それは観測に使うものから通信に使うものまで様々です。
その中でも以前紹介させていただいたPANSY(パンジー)レーダーの1045本にも及ぶアンテナ群と並んでインパクトがあるのが昭和基地主要部から少し離れた高台にあるHFレーダーです。
高さ15m~20m、幅は12mにもなり、その大きなアンテナが並んでいるさまは圧巻です。
その大きなアンテナで、SuperDARN(Super Dual Auroral Radar Network)という国際共同観測網プロジェクトの一端を担って電離圏(高度約100~500km)の状態を観測しています。
観測を担当している宙空部門の山本隊員は、日々の動作確認だけではなく、大型HFアンテナや通信ケーブル、観測機器などの保守管理も行ってており、ブリザード等の荒天後には直接HFレーダーまで赴きアンテナの状況をチェックしています。
ブリザード等の自然環境が厳しい昭和基地では、しばしば大型HFアンテナが損傷してしまいます。
アンテナが大きいため、そのまま作業をすることが難しく、他の隊員の協力を得ながらアンテナを倒して修繕作業を行います。
倒してからの作業でも十分な高さがあるためにヘルメットや落下防止器具の着用は必須です。
観測というと地味な作業を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実は観測を続けて行くために様々な体力勝負の仕事もたくさんあるのです。
(JARE61 山本貴士、吉井聖人)