4月も下旬になると昼間の時間が短くなり
それに合わせて気温もすいぶんと下がってきました。
気が付くと、ところどころ海面をのぞかせていた東オングル島周辺の海も
完全に氷に閉ざされました。
これから昭和基地のある東オングル島を離れ、南極大陸や周辺の島々で観測などを行うにあたり、海氷や氷床上を移動しなくてはなりません。今回は、海氷上を安全に移動できるルートを確認してきました。
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撮影:JARE61 吉井聖人(2020年4月27日)
一様に広がっているように見える海氷も、潮の満ち引きや氷山の漂流などによって、ところどころ氷の割れ目 (クラック)や、海氷同士がぶつかって盛り上がったプレッシャーリッジなどもあり、なかなか目的の地点まですんなりと進むことができません。
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撮影:JARE61 吉井聖人(2020年4月27日)
安全なルートを設定するために、海氷の厚さと積雪の深さを測り、十分な氷厚と強度が確認出来た地点には旗を立てて安全であるという目印にします。また、GPSで緯度経度を測定し、旗の位置を記録していきます。
これを繰り返して、ルートが出来上がります。今後海氷を移動するときは必ずこの安全が確認されたルートを通ります。
もちろん海氷は日々変化しているので、油断はできないですが、昭和基地の外の観測点に安全に移動するためにルートは欠かせません。
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撮影:JARE61 吉井聖人(2020年4月27日)
昼間の時間も短くなり、安全を確認しながらの作業なので一日で進める距離も限られていますが、好天の日に少しずつ実施し、今後の野外行動に備えています。
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撮影:JARE61 吉井聖人(2020年4月27日)
(JARE61 吉井聖人)