ナンセン氷原燃料デポ旅行

2月4日、ドームふじ輸送チームの帰国報告会が南極観測センターの職員向けに行われました。報告会では、チームリーダーの永木隊員から、現地での活動の様子や、活動拠点となったプリンセス・エリザベス基地の様子、ベルギー隊の活動などについて報告されました。

 

61次隊のドーム輸送チームが行った活動でメインとなったのは、ナンセン氷原への燃料デポ旅行でした。1月17日の帰国記事でも少しご紹介しましたが、本旅行は、今後予定されている第3期ドームふじ氷床深層掘削計画に向けた準備として実施されたものです。本記事ではその様子について、一部をご紹介します。

 

旅行は1229日から31日にかけて行われ、基地を出発してキャンプ地1で休憩し、その後ナンセン氷原へ移動して、燃料をデポ。折り返してキャンプ地2で1泊して基地へ帰還というスケジュールで行われました。

プリンセス・エリザベス基地とキャンプ地、ナンセン氷原燃料デポ地を示した地図。
作成:極地研 広報室

 

旅行1日目の1229日、永木隊員、蓜島隊員の2名と、ベルギー隊の2名を合わせた4名は、2台の雪上車に乗り、燃料、キッチン用コンテナ、ベルギー隊隕石チーム用居住コンテナなどをそれぞれ積んだ橇を牽引して、1つ目のキャンプ地に向かいました。

出発直前。4つの橇に燃料ドラムが積み込まれています。
撮影:JARE61 永木毅(2019年12月29日)

燃料輸送中の様子。撮影:JARE61永木毅(20191229日)

 

1日目の移動時間は深夜に及び、翌1230日午前9時頃、ようやく1つ目のキャンプ地に到着。そこで休憩をとり、ナンセン氷原へ向け再び出発。午後13時過ぎにデポ地に到着しました。

ナンセン氷原へ到着。燃料を雪上車から引き離し、橇に乗せたまま燃料をデポします。
撮影:JARE61蓜島義規(2019年12月30日)
キッチン用コンテナ、ベルギー隊隕石チーム用居住コンテナを乗せた橇と、それを牽引してきた雪上車。
撮影:JARE61 永木毅(2019年12月30日)

 

このデポ地は、第29次隊が隕石調査でベースキャンプとして使用していた場所でもあります。ナンセン“氷原”の名の通り、 一面が氷で覆われています。

風が強く、積もった雪が舞って氷の地面が露出しています。
撮影:JARE61 永木毅(2019年12月29日)

 

作業を終え、15時過ぎには再び出発。旅行も折り返しです。

 

2つ目のキャンプ地へ向け移動中。白夜なので21時頃でも夕方のような空。夜も太陽は沈みません。
撮影:JARE61 永木毅(2019年12月30日)

 

復路にある2つ目のキャンプ地に着いたのは日付が変わった頃で、この日はテントを張って就寝。翌朝には綺麗な青空が広がっていました。

キャンプ地で迎えた朝
撮影:JARE61 蓜島義規(2019年12月31日)

 

9時には基地に向け出発し、グンネスタ氷河を通り基地に帰還しました。

グンネスタ氷河のパノラマ写真。真ん中奥が基地方面。往路でついた轍が見えています。
撮影:JARE61 蓜島義規(2019年12月31日)

 

 

本旅行では、途中、クレバスに行く手を阻まれ、ルートを変更しながらの移動となりましたが、ベルギー隊の協力もあり、無事にミッションである燃料のデポを完了し、旅行を終えることができました。

 

(極地研 広報室)