まぎれもなく南極海

穏やかな海
撮影: JARE61 茂木正人(2020年1月18日)

1月18日。

“数日前までの大しけが嘘のように、海は穏やかでしょう。雲は今日も多いですが、ときどき晴れ間も出ます。気温はこの時期にしてはやや高め。日中は2度くらいになるでしょう。所によって、夕方から雪か雨が降ります。観測が夜遅くなる方は、折り畳み傘をお持ちになってください。それでは、各地の天気です。ビンセネス湾沖、曇り時々晴れ、最高気温2度、最低気温は1度、今日は夏日となりそうです。風は弱めですが、日焼けと凍傷にご注意ください。”

お天気お姉さんがいたら、こんな感じになります。

 

トリ部部員からマダラフルマカモメを視認したとの連絡が入りました。これは数年前に我々が得た、南緯62~63度付近を挟んで海鳥の組成が変化するというデータを追認するものです。このことは、餌となる動物プランクトンの組成もここから大きく変化することを意味します。マダラフルマカモメはナンキョクオキアミを好んで採食する種類です。実際、MOHTネットによる観測で、この航海中初めてのナンキョクオキアミが採集されました。さらに、今朝から海氷が現れ始めました。これも変化の兆しです。また一歩、南極海の奥に踏み込んだことを意味します。ここまで来たら、私は南極海に来たと、豪語してOKです。

ORIネットによる観測の風景
撮影: JARE61 茂木正人(2020年1月20日)

写真はORIネットによる観測の風景です。シンプルな円形フレームのプランクトンネットで、船尾から人が歩くくらいのスピードで船を走らせながら曳きます。この観測では、ワイヤーを100 m伸ばし、海面から深度50 mくらいまでの動物プランクトンを採集します。目的は、マダラフルマカモメを始めとした海鳥類の餌となるプランクトンの分布情報を得ることです。

 

 

JARE61 茂木正人)