前編:なぜぬるめ池で調査を?の続きです!
<準備万端!しかし……>
キャンプに合流した1月8日は快晴で、ぬるめチームの隊員らはボートを使った湖底の地形調査を完了させ、その後せっせと湖底掘削の準備に励んでいました。
しかし……
翌9日の朝には強風の予報となり、これから吹雪になるとの情報が。ボートでの調査は危険と判断し、せっかく準備したボートをいったん陸にあげて、物資が飛ばされないよう固定することになりました。調査計画が天候に左右されるのは残念ですが、仕方がありません。
<強風の中での調査>
翌10日、昭和基地からの無線通信によると、基地では予報通りの吹雪だったようですが、ぬるめ池周辺では雪は降りませんでした。しかし、強風のため、やはり、ボートを使った掘削調査はできませんでした。
代わりに、ぬるめ池周辺の陸地の堆積物調査をこの日に実施することになりました。
寒風の吹きすさぶ中、ぬるめチームのメンバーは、次々見つかる海洋生物の化石に「楽しくなってきた!」と言いながら調査を進め、ある場所に1メートル近くの深さのトレンチ(穴)を掘りました。
この後、別の場所でもトレンチを掘ってサンプルを採取する予定でしたが、さらに風が強くなり、簡易計測では風速22メートル。調査は中止となりました。翌日までテントの中で待機です。
<天気回復!>
11日の朝には強風がやみ、ボートでの調査ができるほどまで回復しました。再びボートに空気を入れ、湖底掘削の準備をしました。
残念ながら帰りのヘリの時間がきてしまい、掘削の様子を見ることはできませんでしたが、その日、毎晩20時に行っている無線定時交信で「掘削に成功した」との連絡が入りました!3メートルもの湖底堆積物が採取できたそうです。
研究成果の論文やニュースだけでは、研究サンプルがどのように採取されたのかを読み取ることは難しいですが、現地での取材により自然に左右されるフィールドワークの厳しさや、その中にある楽しさを垣間見た4日間となりました。
(JARE61 寺村たから、極地研 広報室)