南南西に進んでいた「しらせ」は真南に進路を変えました。ここからは、東経110度ラインをまっすぐ南に進みます。
昨日(4日)、しらせの船尾側にある観測甲板で、“海洋生態系モニタリング”の観測が始まりました。これは、毎年同じ地点で海水やプランクトンの採取を行い、海の生態系の長期変動を調査するものです。
61次隊でもポイントを移動しつつ、往路、復路それぞれ5日連続で観測を行います。
4日はL1地点に、5日はL2地点に1時間半ほど船を停めて、海水やプランクトンの採取を行いました。
まずは、海水の塩分や温度を連続的に測定できるCTD測器に採水器が付いた「採水器付CTD測器」を水深450メートルまで沈め、引き上げます。採水器は特定の水圧を検知するとボトル上下の蓋が閉じるようになっていて、6段階の深さ(今回は水深20、50、75、100、200、400メートルに設定)の海水をそれぞれ4リットル採取することができます。
続いて、プランクトンを採取するノルパックネットの投下。円錐形の網を水深150mまで沈めて引き上げました。
しらせ乗組員がノルパックネットの投下・引き上げをしている間、観測隊員は採水器で採った海水を、観察項目ごとに慎重に小分けにしました。
ノルパックネットが引き上げられたら、採取物を瓶に詰めて保存します。
一連の投下・引き上げが終わった後も、分析は続きます。
採水器で採った海水を使い、植物プランクトン量の指標となるクロロフィルaの濃度を測定します。
海洋生態系モニタリング観測は、往路ではあと3日(L3、L4、L5地点)続きます。
担当する渡部 陽(わたなべ あきら)隊員は、「多忙ではあるが、予定していた観測項目はすべて実施できている」と引き締まった表情で語りました。
(JARE61 寺村たから)