「しらせ」艦上での海洋観測において、世界で初となる南極海での窒素固定調査を行っています。
2月6日、氷海での採水の様子
今日の世界の農業生産に窒素固定は深く関わっています。
“窒素固定”とは、安定な(不活性)窒素分子を、反応性の高いアンモニアに変換するプロセスのことを言い、自然界では微生物によって行われる反応です。
20世紀に入ってからは工業的に窒素固定を行うことが可能になり(ハーバーボッシュ法)、その結果、窒素肥料の生産が容易となって、農業生産性が格段に上昇しました。
海洋においても窒素栄養塩は生物生産に大きな影響を及ぼします。窒素固定は外から海洋に供給される窒素源のうち主要な部分を占めているため、窒素固定を理解することが、海洋の生産性を理解する上での鍵となります。
これまでの海洋における窒素固定の研究は、主として熱帯・亜熱帯海域で進んでおり、極域ではほとんど行われたことがありませんでした。
最近では、新たに北極海で窒素固定が行われていることが発見され、そうなると、南極でも窒素固定が行われている可能性があります。というわけで行ったのが今回の観測で、南極海で初の窒素固定観測となりました。
採取したサンプル
南極海は海洋窒素固定研究のラストフロンティアとも言える海域です。
ですので、今回のこの観測で、全球の窒素固定の分布と、それを担う微生物の分布が明らかになると考えられ、海洋全体の窒素固定の総合的理解に繋がると考えられます。
「しらせ」の動きについては進め!しらせをご覧ください。
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