雪降る氷縁で舞うユキドリ
ユキドリは南極大陸の過酷な自然環境で繁殖を行う数少ない海鳥のひとつです。かなり南に来ないと見ることが出来ないのですが、その真っ白で美しい姿は学生や研究者に人気です。
ここ氷縁では、海氷の採取を行いました。
海氷には様々な微小生物が高密度で生息していて、それらは氷が出来る際に取り込まれたり、あとから棲み付いたりするものと考えられています。
氷の中での暮らしは辛そうに思えますが、植物にとっては常に光の豊富な表層で暮らすことができるため都合がよく、また、それを食べる動物にとっても恵まれた環境なのです。
この微小生物を高密度に含んだ氷は、冬には南大洋(南極海)を広く覆い尽くし、夏には沿岸部の一部を残して80%以上が融解してしまいます。
融解するときには微小生物が海の中に放出され、海の中の生態系に変化を与えます。
一般的に、食物網(食物連鎖)は植物の光合成(基礎生産)を起点としますが、このように海氷中の生物が海の中に放出される変化は、それとは違い、海の中に直接有機物が供給されるのです。
膨大な面積をもつ南大洋で毎年繰り返されるこのイベントは、一定のインパクトを持つはずですが、どれくらいの微小生物(有機物)が年間に供給されるのか、あるいは、供給された後はどうなっていくのか、など、ほとんどが分かっておらず、これも我々の重要な研究テーマのひとつとなっています。
海鷹丸の動きについては以下からご覧ください。