12月15日と17日に、トッテン氷河沖に係留観測の測器を設置しました。係留観測とは、一定の期間、海の特定の場所に測器を設置し、海水温や塩分の経時変化を調べる観測手法です。
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撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月15日
係留観測で使用する一式の装置を「係留系」と呼びます。フロート(浮き)や計測器が長い紐でつながっており、片方の端には錘(おもり)がついています。海に入れると錘を下にして海底から立ち上がるように縦に伸び、その地点に留まって水温や塩分を測定し続けます。海洋環境の時間変化をとらえることが目的です。
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※イラスト中の測定装置の大きさや紐の長さは実際の比率とは異なります
15日の朝、水深約500メートルの地点に設置する、全長約200メートルの係留系を投入しました。ゆっくり航行する「しらせ」の船尾から、係留系を上端から順番に海に繰り出していきます。
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撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月15日
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撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月15日
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撮影:JARE61 寺村たから 2019年12月15日
錘の投入後も、係留系を紐で引いたまま、しらせが観測地点に到着するまで数分待機。予定地点に近づくと船内放送で「30メートル前、10メートル前、5メートル前、用意、離脱!」の合図が。乗組員が紐をほどくと、錘や、フロート、計測器が沈んでいきました。投入成功です。
17日には、水深約1000メートルの場所に、全長500メートル弱の係留系を投入しました。これら2系の係留系は、南極の夏のあいだ測定を行い、昭和基地からの帰り(2月下旬から3月上旬の間)に回収する予定です。
(JARE61 寺村たから)