「南極っておもろいやん!」と思ってほしくて(南極授業・大阪府阪南市立舞小学校)

大阪府阪南市立舞小学校教諭、諏訪園朋也と申します。今回は、2026年1月29日(木)に実施した南極授業について、お話させていただきます。

短い南極の夏期間で南極授業の準備・本番を行うために、1日で2コマの南極授業を実施しました。全校児童が参加しましたが、メインターゲットは1コマ目が5年生、2コマ目が6年生です。どちらにも共通するのは、もっと南極や観測隊について知ることを通して、子どもたちに「南極っておもろいやん!」と感じてほしいという私の願いでした。

そのために、それぞれの学年に単元を設定しました。5年生が南極で聞こえる「音」に注目し、その音について質問したり調べたりしていくことを通して南極の魅力や南極観測の意義・南極観測に携わる人の思いを知る学習。6年生は「生物と環境」に注目し、南極の自然環境とそこに適応する生物について考えていくことを通して、特徴的な南極の環境とそこに生息する魅力的な生物たちを知る学習です。

また、単元のゴールとして、5年生は「南極をイメージした音楽づくり」、6年生は本校で取り組んでいる海洋教育と組み合わせて「学習したことを発表する」という活動を設定しました。

今回の南極授業を構成する上で意識し、また、悩んだのが「中継で授業をする意義」でした。観測隊への同行中、基地以外の野外にも取材をさせていただく機会がありました。特に大陸上では、南極ならではの雄大な景色や、南極ならではの生物の写真や動画を撮ることもできました。しかし、それらを私が見せて話すことは、日本に帰ってからでも可能です。

では、せっかくリアルタイムで日本とつなげる時に何を大切にするか。浮かんだのは、かつて共に働かせていただいた先生から教えてもらった「人との出会いに勝る教材はない。」という言葉でした。私は昭和基地に着くまでの南極観測船「しらせ」の中でも、出会った隊員の方たちからそれぞれの専門とされる分野のお話をたくさん聞かせていただきました。まったく違う分野のプロフェッショナルが集まり、自身のミッション、そして隊全体のミッションを遂行する南極地域観測隊。お話をうかがう中で、隊員の方それぞれの仕事や南極観測にかける思いにふれることもできました。一つ決めたことは、子どもたちをできるだけ多くの隊員の方と(画面越しですが)出会わせることでした。

もう一つ決めたことが「南極と日本とでやりとりをする」ことでした。子どもたちが話したことに対してリアルタイムで返答が来る。中継ならではのライブ感を大切にしたいと考えました。私のやりたいことを詰め込んだ結果、2コマ合わせて13名の隊員の方に出演いただくことになりました。

それぞれの隊員が自分と隊のミッションを達成すべく働いています。
(撮影・編集:JARE67 諏訪園朋也)

当日、1コマ目は19広場からスタートし、出演いただく隊員の方の仕事の「音」をきっかけとして、それぞれの仕事場をめぐりながら、隊員の方々に子どもたちとやりとりをしてもらいました。その中で、それぞれの音がもつ意味にもふれていただきました。何気ない機械音や日常の生活音でも、文明圏である日本と南極・昭和基地とではもつ意味合いは変わってきます。例えば発電機が動く音は電気という基地の生命線を守る音であり、料理を作る音は娯楽の少ない南極で隊員を癒す音となるはずです。南極の厳しい環境や、それでも観測活動を行う意義について考えていくきっかけにしてほしいと考え、そのまとめとして最後に越冬隊長にお話いただきました。

2コマ目は気象チームが使用するラジオゾンデの放球デッキからスタートし、気象隊員の方に南極の特徴的な気候や現在観測されている変動についてお話いただきました。つづいて、生物を対象に観測活動をされている3名の隊員の方に、それぞれの観測についてお話いただきました。その後、6年生の児童が考えた南極の環境下で生きていけそうな新しい生物についてのプレゼンに対して、コメントをいただくという活動をしました。最後に、本校で取り組んでいる海洋教育と関連して、しらせで海洋観測をされている隊員の方に南極の海の変動と、日本に影響を及ぼす可能性についてお話いただきました。遠く離れていても、地球上のすべての場所は大気・海洋などを通してつながっています。離れた場所での変動は決して自分とまったくの無関係ではないということにも気づいてほしいと思いました。

「しらせ」からも研究者の方に中継で出演していただきました。
(画像:極地研広報室)

たくさんの隊員の方々のご協力のもと、今回の南極授業は行われました。一方で、子どもたちの学習はまだまだこの後も続きます。2コマの授業はこの後の学習のスタートでもあります。単元全体を通して「南極っておもろいやん!」と感じてもらえるよう、引き続き学校側と連携して学習をすすめていきたいと思います。

授業・取材ともに、画面に映りきらないほど、たくさんの隊員の方々にご協力いただきました。ありがとうございました!!
(画像:極地研広報室)

(JARE67 諏訪園朋也)