5月10日に昭和基地のPANSY(パンジー)のエリアに行きました。パンジーというと黄色や青色など様々な色合いで公園や花壇で咲き目を楽しませてくれますが、昭和基地のパンジーはPANSY(Program of the Antarctic Syowa MST/IS) レーダー という大型大気レーダーのことを指します。担当の谷川隊員に案内してもらいました。
このPANSYレーダーから発射される電波は大気中の温度や電子密度の揺らぎにより散乱されて戻ってきます。散乱された電波を調べることによって対流圏・成層圏・中間圏の風の3成分を観測しています。また電離圏の電子密度や電子温度等、イオン温度、イオン速度を推定し、専用のアンテナ群を使うことで電離層の下層部分の3次元構造も調査しています。共同利用による観測も行っており、越冬期間中には観測が滞りなく実施できるよう調整や監視を行っています。

撮影:JARE66 米村幸司(2025年5月10日)

撮影:JARE66 米村幸司(2025年5月13日)

撮影:JARE66 谷川忠顕(2025年5月13日)
5月13日、パンジーエリアにてドローン撮影の飛行を行いました。広大なエリアの雪の状況を確認するためにドローンを活用して定期的に監視しています。アンテナが均等に林立し、その一つ一つから一本ずつケーブルが小屋に向けて接続されています。合計1000本以上のアンテナが立っていますが、今後雪が厳しくなる時期に故障を避けるため一つ一つ手作業でアンテナの素子を300カ所程外して、間引いていきます。まずはドローンを活用して雪の積もり方や状況を確認し、今後の計画を検討します。今後降雪が強まりアンテナもサーバ群のある小屋も雪に埋もれてしまうようなので協力して除雪し、観測が継続できるよう努めていきます。

撮影:JARE66 谷川忠顕(2025年5月19日)

撮影:JARE66 米村幸司(2025年5月13日)

撮影:JARE66 谷川忠顕(2025年5月13日)
(JARE66 米村幸司)