まめ島のペンギン調査

昭和基地から8kmほどの場所に「まめ島」という島があります。そこにはアデリーペンギンのルッカリー(ペンギンやアザラシなどの動物が集団で子育てをする場所)があり、行動や生態の調査が進められています。以前のブログで紹介したペンギンセンサス(ペンギンの個体数や巣の数を数える調査)とは別で、今回66次隊先遣隊として2名がペンギンの調査のため65次越冬隊とともに生活しながら調査を行っています。

卵を温めるアデリーペンギン
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年12月7日)

今の時期ペンギンはちょうど卵を温めている時期です。ルッカリー周辺の石を嘴で集めて巣を作り、そこで産卵します。ペンギンは巣にうつ伏せになりお腹の下に卵をいれて温めますが、トウゾクカモメが巣から転がりでた卵を狙っています。

ペンギンの卵を嘴にくわえて持ち去るトウゾクカモメ
撮影:JARE66 高橋晃周(2024年12月5日)

66次先遣隊の2名のペンギン調査チームは、生態の調査のためにペンギンの体に記録計を取り付けて、行動をモニタリングしています。このような調査方法をバイオロギングと言います。そうすることで、ペンギンが南極海をどこまで移動して、どんなエサをどのくらい食べているかを調べることができます。そして、そうしたデータを積み重ね、海氷状況の違う年間でペンギンの行動に関するデータを比べることで、海氷の変化がペンギンやペンギンのエサ(オキアミや魚など)に与える影響を調べることができます。近年、南極域の海氷面積は減少傾向にありますが、海氷の変動が生態系全体に及ぼす影響を明らかにすることにも繋がります。

いまバイオロギングの記録計の回収が進められているところですが、ペンギンのどんな行動が明らかになったのか、教えてもらうのを楽しみにしているところです。

ペンギンの背中にバイオロギングの記録計を取り付け、行動をモニタリングする
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年12月7日)

まめ島では岩場に藻類が繁茂していました。ペンギンの糞が栄養になって、ルッカリー周辺には藻類が多いのだそうです。昭和基地で目にする緑といえば、生活係の活動として以前ご紹介した農協係のグリーンルーム内でしか植物を見ることがありませんので、自然界の緑を見るのはとても新鮮です。日本を離れて約1年も自然の緑を見ていないのだと思いました。

まめ島の岩場には緑色の藻類が繁茂していました
撮影:JARE65 山岡麻奈美(2024年12月7日)

66次本隊が日本を出発し、月末には昭和基地に到着する予定です。除雪や夏期隊員宿舎の立ち上げ、持ち帰り物資の準備等、65次越冬隊では、次の隊の受け入れ準備を進めています。

(JARE65 山岡麻奈美)