今年の越冬生活の前半は、度重なるブリザードが昭和基地を襲いました。最近はブリザードのペースが弱まりましたが、基地周辺には多くの積雪が見られました。極夜期に入り、太陽が出ない時期になりましたが、実際昼間には4時間程度夕暮れのような明るさの時間があり、その時間は基地周辺の除雪作業の時間としてもあてられています。
越冬生活中はオーロラ光学観測が実施され、人工的な光が外に漏れないように、基地内で灯火制限が行われています。外灯を消すのはもちろんのこと、基地内のカーテンを閉め外部に光が漏れないようにしたり、屋外を移動する際の懐中電灯も光が観測の邪魔をしないように赤色のテープを張り対策しています。
極夜期において外が十分に明るく、観測に干渉する外灯を付けずとも安全に作業ができる短い時間帯は大変貴重です。建物や設備が埋まって機能しなくなるのを防ぐため、重機での除雪だけでなく、重機では除雪のできない高床式の建物下や階段下等においては、手掘りでの除雪も行っています。除雪はなかなか焦点の当たらない地味で地道な作業ですが、越冬期間中に基地を維持管理するための重要な作業のひとつです。
機械隊員だけでなく、観測系隊員や医療隊員など、他部門の隊員も含め全員で手を取り合い除雪作業を行っています。越冬も中盤に差し掛かりましたが、引き続き隊員一丸となって基地の維持運営に努めて参ります。
除雪作業中の昭和基地
撮影:JARE65 山岡 麻奈美(2024年6月26日)
(JARE65 田村 厳)