10月22日の日曜日、昭和基地の日中の気温は-10℃程度。風も穏やかで、お出かけ日和となりました。私たちは、観測隊恒例イベントである「氷山流しそうめん」に出かけました。南極の氷で流しそうめんやかき氷を食べてみたい、とずっと楽しみにしていた隊員も多くいました。
準備は前の週から始まりました。昭和基地の主要部が面している北の浦にある氷山に、野外観測支援担当、建築・土木担当の隊員、そしてイベント係の隊員たちが出かけ、ふさわしい氷山を選び、ゆるやかな斜面で氷を削り、そうめんを流す溝と隊員たちが座る段が作られました。そうして出来上がった流しそうめん会場はまるで氷の宮殿です。
靴にアイゼン※を装着した隊員が給仕役を務め、斜面の上からそうめんを流してくれます。勢い良く流れてくるそうめんを何度かすくっていると、しだいにお箸が凍り、麺が絡みつき、つかみづらくなってしまいます。初めは温かかった麺つゆもあっという間に冷え、さらに冷たすぎて麺がうまくすすれず、極寒の南極にいることに改めて気づかされます。
流しそうめん会場は昭和基地主要部から近場でしたが、基地の安定的な運営・管理のため、午前と午後の2班に分かれて出かけました。またイベント終了後は、みんなで会場を清掃し、環境への配慮に努めました。青空の下、真っ白な氷山に座って、仲間たちと笑って過ごすことができ、思い出いっぱいの休日となりました。
(JARE64 白野亜実)
※アイゼン…氷や堅い雪の上を歩くとき、滑り止めとして靴底に装着する金属製の爪が付いた登山用具