衛星回線設備の運用保守訓練

昭和基地は衛星回線を通じてインターネットとつながっており、昭和基地で観測されたデータの配信、TV会議中継などの観測隊運営のための利用だけにとどまらず、昭和基地の隊員が日本にいる家族や友人などとメールやメッセージアプリで連絡をとったりする際にも、この衛星回線が利用されています。

昭和基地とインターネットがどのようにつながっているかと言いますと、昭和基地はインド洋上の高度約36000kmに位置するインテルサット衛星を経由して、山口県山口市のKDDI山口衛星通信所にあるパラボラアンテナとつながっており、そこから東京都立川市の国立極地研究所やインターネットとつながっています。

今回、LANインテルサット隊員と多目的アンテナ隊員は、この衛星回線の設備の保守運用方法を学ぶため、9/19~21の3日間、KDDI山口衛星通信所にて訓練を受けました。

KDDI山口衛星通信所の様子
大きなアンテナがたくさん設置されています。
撮影:JARE65 津町直人(2023年09月19日)
インド洋上のインテルサット衛星向けのパラボラアンテナ
このアンテナと昭和基地に設置されているアンテナが衛星を介して通信をしています。
撮影:JARE65 津町直人(2023年09月19日)

衛星回線の基礎を講義いただいた後、実際の衛星回線設備を用いて、機器操作の実習を行いました。


アンテナで送受信する電波をデジタル信号に変換する装置である衛星モデムや、アンテナに入力する信号を大きくする装置である増幅器などの操作方法を、実際の操作を交えて学びました。

講義を受講している様子
撮影:JARE65 津町直人(2023年09月19日)
衛星モデムを用いた訓練の様子
撮影:JARE65 津町直人(2023年09月21日)

さらに、アンテナ駆動部に充填されているグリース(潤滑剤)を交換する作業を行ったり、パラボラアンテナの向きを自動/手動で調整したりする訓練などを受けました。

アンテナ駆動部のグリースを交換している様子
撮影:JARE65 津町直人(2023年09月20日)
手動でアンテナの向きを調整している様子
脚立に上り、ハンドルを回してアンテナの向きを変えています。
撮影:JARE65 津町直人(2023年09月20日)

3日間の訓練を通じて、衛星通信設備を保守運用することの重要性を改めて感じました。昭和基地では、安定した衛星回線/インターネット回線の運用を目指し、この訓練で学んだことを活かしていきたいと思います。


(JARE65 津町直人)