極夜の祭典MWF

私たち64次越冬隊は、南極で極夜の折り返しである冬至の6月21日を、皆元気で笑って無事に迎えることができました。これも日頃から支えてくださっている皆さまのおかげです。今後も一層気を引き締めて任務にあたっていきます。これからもどうぞよろしくお願いします。

昭和基地には、南極観測統合推進本部長の永岡文科大臣をはじめ、多くの関係の皆さまから祝電をいただくとともに、越冬中の外国の基地からたくさんのグリーティングカードが届きました。お祝いの言葉とともに、この後も続く越冬生活への応援の言葉にたくさん勇気づけられました。改めて御礼申し上げます。

64次越冬隊のグリーティングカード(左)昭和基地に届いた祝電など(右)

また私たちは冬至を挟んで6月18日から23日の日程で、ミッドウィンターフェスティバル(MWF)を行いました。このMWFは、南極での越冬を祝い、暗い時期に気持ちを少しでも盛り上げ、隊の士気を高める工夫として長年続けられている行事です。今年も4月下旬からMWF実行委員会を立ち上げ、私たちの手でひとつずつイベントを企画、構成しました。日頃から越冬隊が担う観測や設備管理・点検業務のかたわら、存分にこれらイベントを楽しみました。写真とともにその模様をお伝えします。

〔開会式〕
アイスキャンドルの優しい灯に照らされた19広場。隊員皆が見守るなか、聖火台に火が灯りました。

開会式の様子
撮影:JARE64 白野亜実(2023年6月18日)

〔屋外イベント〕
時には-20℃以下の寒さのなか、たくさんの屋外イベントが繰り広げられました。

雪像作り(左上)、64ダービー(右上)、かまくら会合(左下)、人間カーリング(右下)
撮影:JARE64 樋口和生、白野亜実(2023年6月20日、21日、22日)

〔お祭り屋台〕
隊員皆で作り上げたお祭り屋台。店員をしながらお客さんとしてお店を巡り、楽しく大忙しの時間でした。美味しいお好み焼きやスイーツ、おでん、串焼きのほか、おにぎりやホットスナックの並ぶ”64マートも登場しました。また射的、輪投げ、ストラックアウトなどあそび屋台にも行列ができていました。

お祭り屋台
撮影:JARE64 白野亜実(2023年6月21日)

〔お祝いのディナー〕
ミッドウィンターのお祝いの席にふさわしい料理をと、調理隊員の2人が腕を振るいました。長谷川隊員から本格フレンチディナー、中川隊員からは和食コース「水無月の御献立」が振る舞われました。両日とも一生の思い出になる幸せな時間となりました。

MWFディナー
撮影:JARE64 白野亜実(2023年6月19日、22日)

〔極夜のオーロラ〕
MWF期間中は天気に恵まれ、19広場に作られた露天風呂に入ってオーロラを眺めることができました。星空とオーロラの饗宴に隊員たちから、歓声が上がっていました。

MWFを一緒に祝うかのように現れたオーロラ
撮影:JARE64 田中良昌(左)、白野亜実(右)(2023年6月20日、22日)

〔閉会式〕
閉会式と安全祈願の餅つきで、MWFを締めくくりました。閉会式では樋口隊長から、企画から準備まで奔走したMWF実行委員会をはじめ、隊員みんなに労いの言葉がかけられました。

閉会式と餅つき
撮影:JARE64 白野亜実(2023年6月23日)

今回のMWFで実行委員長を務めた中村隊員に、MWF終了に寄せてメッセージをもらいました。

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いつも南極地域観測隊を応援してくださり、ありがとうございます。第64次隊越冬隊が笑顔でMWFという節目を迎えられたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。
私たち越冬隊は、昭和基地に到着して以来、休日も観測が途絶えないよう、任務にあたってまいりました。6月からは太陽が顔を出さず、屋外が薄暗い日々が続き、気分が落ち込むことがありました。そのような環境下にある私たちにとってMWFのお祭りはとても重要な行事です。
準備は毎日深夜に及びましたが、迎えたMWF本番は、幸運にも天気に恵まれ、全てのイベントを計画通りに実施することができました。楽しくにぎやかに過ごす隊員の姿が今でも目に浮かびます。MWFによってチームワークが高まり、越冬後半の任務も総員が笑顔で乗り越えられると確信しております。
引き続き、第64次南極地域観測隊をよろしくお願いします。

64次南極地域観測隊 ミッドウィンターフェスティバル実行委員長 中村映文

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7月中旬まで極夜の時期が続きますが、暗さ、寒さに負けず、心穏やかに過ごしたいと思います。そして、ここで養った鋭気をもとに、65次隊の受入れや南極大陸の内陸へ調査に向かうチームの送り出しなど、越冬後半の任務に邁進したいと思います。

JARE64 白野亜実)

 

※天文学の定義では、春分の地球と太陽の位置関係を基準にして、公転の結果、地球から見た太陽の位置が90度進んだ瞬間を夏至というため、真冬の南極でも本来は夏至となります。