南極授業② 学びの先にある未来のしごと

1月30日(月)に奥多摩町立奥多摩中学校の生徒を対象とした南極授業を実施しました。テーマは「学びの先にある未来のしごと」です。奥多摩中学校では、「協働的な学習」を大切にしています。そこで、「もし自分が研究者だったら。」という問いかけを通して、グループで話し合いながら、研究テーマを練り上げていくことにしました。

また、観測隊員に協力を仰ぎ、「南極に行くきっかけ」「南極での仕事」などを記載したカードを作成し、タブレット端末上でいつでも閲覧できるようにしました。生徒は様々な業種や観測、研究があることを知り、観測隊員への質問を考えていました。そこで、南極授業の際に、生徒自らが活躍する隊員に直接インタビューをすることで、自分事として疑問を解決するとともに、進路選択を考える中学生へのメッセージにもなる授業を目指しました。
当日の授業には、延べ9名の隊員に協力いただき、「気象」「オーロラ」「空気」「アイスコア」「生物」に関する話をしてもらいました。

「空気の鮮度を調査したい。」という生徒の質問に対して、しらせの船上でエアロゾルの観測をしている隊員が答えてくれました。出航時の東京と昭和基地の観測結果を比較してもらいながら説明をしてもらったことで、「南極の空気はきれいであること。」を分かりやすく伝えてもらいました。さらに、雲の形成とエアロゾルとの関係や、降雪の仕組みについても紹介してくれました。質問タイムでも、南極の雲の様子に関する質問が出るほど、生徒の関心を高めることができました。

「南極で干物をつくったら、どのぐらい早く乾燥するのか。」と考えた生徒もいました。そこで、海氷下の魚を研究するチームと調理隊員に協力してもらい、南極で釣ったショウワギスという魚で干物づくりに挑戦しました。また、奥多摩中学校でも、生徒自身が実際に魚をさばき、干物づくりを行いました。乾燥前と乾燥後の重さの違いで比較したところ「南極の方が乾燥しやすい。」という結果になりました。魚の種類や天気など、完全に条件を揃えて実施することはできませんでしたが、奥多摩と南極の環境の違いに着目できる面白い実験となりました。

授業の最後には、隊員の方から生徒への温かいメッセージを送ってもらいました。この取り組みを通して、生徒自身の興味関心が広がるきっかけになったり、将来の仕事に対する選択肢が少しでも増えていたりすればいいなと思っています。

撮影:JARE63 馬場健太郎(2023年1月30日)

(JARE64 野田豊)