1月26日(木)に東京都奥多摩町の小学生を対象とした南極授業を実施しました。テーマは「やってみようから始まる南極観測」です。出発前の事前授業では「もし自分が研究者だったら。」という問いかけで、実際に調査をしてきてほしい内容を募りました。小学校の授業づくりでは、児童自身が問題を見出すということを大切にしています。そこで小学生の素直な思いが観測隊の活動にどうつながるのかを考え、授業内容の構成をしていきました。
例えば「南極の氷でかき氷を作ってほしい。」という思いに対しては、次のように取り組みました。まず野外観測に同行した際に採取した「陸の氷」「海の氷」の2種類の氷からかき氷を作り、削った氷の様子と味を比較しました。そこから「氷床」「海氷」の違いを確認し、実際に行われている研究の紹介へと繋げていきました。
他にも「カップラーメンは凍るのか。」という疑問に関連付けて、越冬隊員に南極の冬の厳しさを話してもらったり、「ペンギンがいるなら魚もいるのではないか。」という予想に対して、海氷下の魚を研究している隊員を招いて、説明してもらったりしました。また「ゴミや下水処理はどうしているのか。」という生活に関する質問には、環境保全の隊員に昭和基地での仕事内容を紹介してもらいました。
登場してもらった際には、授業のテーマである「やってみよう」という言葉に立ち戻り、今回の活動で「挑戦」していることや思いを伝えてもらいました。
それぞれの職務を全うしながら、子供たちのために、協力してくれる観測隊の皆さんの気持ちに感謝するばかりです。昭和基地入りしてから「見て」「聞いて」学んできた南極の魅力や観測隊の活躍を、これからも多くの子供たちに伝えていこうと思います。
(JARE64 野田豊)