物資搬出と「しらせ」搭載

1010日の64次隊先遣隊の出発に続いて、「しらせ」で南極に向かう本隊の出発も間近に迫りました。今年2月に長野で行った冬期総合訓練に始まり、各種訓練や研修、打合せ、物資調達、梱包まで常に同時進行で濃い国内準備でした。10月からは、極地研から物資搬出、「しらせ」への搭載など、準備も最終段階になりました。

10月に入りいよいよ食糧品の搬入も始まりました。越冬隊が南極で1年生活するためのたくさんの食材を冷凍コンテナに運び入れます。
撮影:JARE64 白野亜実(2022年10月13日)
隊員立会いのもと各部門の観測・設営物資が搬出されます。10月上旬にはひしめき合うように物資が並んでいた極地観測棟1F倉庫、あっという間にすべて搬出されました。
撮影:(左)JARE64 山田嘉平(2022年10月4日)(右)JARE64 白野亜実(2022年10月7日)

1014日からは、海上自衛隊横須賀基地から大井ふ頭に回航してきた「しらせ」への物資搭載が始まりました。今回、「しらせ」に搭載して昭和基地、船上及び野外観測のために南極に持ち込む物資の総量は、約1,119tに上り、観測のための機材から基地を保守・設営のための部材、車両や重機、隊員の生活用品まで、南極へ輸送する物資は多岐に渡ります。

(左)南極で使用する車両のうちピックアップトラック慎重に積み込むところ。
(右)貨物艙に搭載された雪上車や大型車両。航海中の揺れに備えて入念に保定します。
撮影:極地研 南極観測センター(2022年10月14日、15日)
12ftコンテナは、船中央付近の両舷のラックに搭載しますが、バランスを崩さないようコンテナごとの重量によって積む位置が決められています。
撮影:極地研 南極観測センター(2022年10月26日)

船内では人の手で荷物をリレーして、各船室に優しく運び込みます。
撮影:JARE64 白野亜実(2022年10月14日)

私も搭載作業中の「しらせ」を訪問しましたが、どの物資も丁寧な養生がなされ、それらが巨大な重機で力強く運び込まれ、瞬く間に大量の荷物が搭載されていました。その様子はまるで街がひとつ、まるごと引っ越しをするような印象でした。南極地域観測隊の行動実施計画には、「昭和基地での観測継続に必要な人員の交代と物資輸送を最優先とする」とあり、輸送はすべての行動の基盤となる大事な仕事です。南極到着後は、昭和基地へ輸送する様子をレポートしたいと思います。

JARE64 白野亜実)