衛星通信機器試験

7月13日、国立極地研究所内で、通信系担当隊員が合同で衛星通信機器の試験を実施しました。

64次隊は日本から南極まで約2か月かけて南極観測船「しらせ」で移動しますが、船の上でも電話や電子メールを使用できるようにするために衛星通信サービスを利用します。 日本を出発する前に、通信機器に電源が入るか、正常に動作するか、破損がないかなどの確認を行いました。 出発後は、機器を購入したお店に修理をお願いしたり、修理用の部品を取り寄せたりすることができないため、出発前の念入りな確認が重要です。

まずは、通話試験を行いました。 小雨模様のため水濡れに注意しながら、ドーム型アンテナを見通しのよい場所に設置し、建物内に設置した電話機と配線をつなぎ、正常に通話できることを確認しました。 衛星を経由しての通話は、テレビの衛星中継と同じように、相手の声が少し遅れる(遅延する)特徴がありますが、音質は意外に明瞭です。

ドーム型アンテナを設置する様子
撮影:JARE64 井上誠(2022年7月13日)
電話機で通話の音質を確認する様子
撮影:JARE64 中村映文(2022年7月13日)

次に、電子メールの送受信試験を行いました。
機器とパソコンに対する設定が完了し、いざメールを送受信してみたものの、うまくいきません。
原因を調べていくと、パソコン側のネットワークの設定に誤りがあることがわかりました。
設定ミスを修正すると、無事メールの送受信ができるようになりました。
試験時の失敗は、よい経験となり、知識の向上につながります。

ミスを検証中のホワイトボード
撮影:JARE64 中村映文(2022年7月13日)

最後に、通信障害発生時の原因究明手順を確認しました。
手順書があり、過去に経験した障害をもとに、要領よく原因を明らかにできるように書かれています。各隊員は障害が発生しているつもりになり、手順書を1項目ずつ丁寧に読み上げつつ、機器を操作しました。こうして、日本を出発するまでに、さまざまな知識を習得していきます。

経験が詰まった手順書(中身はナイショ)
撮影:JARE64 中村映文(2022年7月15日)

試験が完了した機器類を箱詰めして本日の試験は終了しました。
初秋に南極観測船「しらせ」に積み込む予定です。

注:セキュリティ確保のため一部の写真を加工してあります。

(JARE64 中村映文、井上誠、戸田仁)