今回は、気象隊員が行っている観測のひとつ「高層気象観測」について紹介します。高層気象観測では、気球を使って上空およそ30kmまでの気圧、気温、湿度、風向・風速を3時と15時(昭和時間:以下同じ)の1日2回測っています。始まりは3次隊で、60年以上経った現在も観測が行われています。
令和4年4月15日から7月15日にかけて、世界気象機関のプロジェクト(YOPP:Year Of Polar Prediction)によって、観測強化期間が設定されています。YOPPでは、南極半島や東南極地域に影響する主要な低気圧を観測ターゲットに、高層気象観測の回数を増やすことで、数時間から季節スケールの気象予測を向上させることを目的としています。昭和基地では要請に応じて1週間程度、観測回数を1日2回(3時、15時)から4回(3時、9時、15時、21時)に増やし、観測したデータは、国際的なネットワークを通して、世界中の気象機関へ共有されます。63次隊では、5月9日から15日、6月2日から7日にかけて集中観測を行いました。増発分は気水部門の隊員を中心に交代しながら、協力して観測を行いました。
(JARE63 石川嵩)