庶務・情報発信担当の馬場です。
4月26日(火)、63次隊としては初めてとなる南極教室を私の母校である栄光学園中学高等学校(神奈川県鎌倉市)と昭和基地との間で開催されました。南極教室とは、観測隊員とゆかりのある学校と昭和基地とをインターネット回線で結んで、隊員と児童・生徒がリアルタイムで交信することで、南極観測について理解を深めてもらうことを目的とした取り組みで、2004年に始まりました。
今回は、現地時間の午前9時20分(日本時間午後3時20分)に昭和基地の看板がある通称「19広場」から中継を開始しました。気温-13度、平均風速10m/sを超える強風の中、保温水筒から出したばかりの熱湯を空中にまくと一瞬で湯気になる「お湯花火」の実験が成功すると、学校の会場で中継映像を視聴していた生徒たちから大きな歓声が上がりました。
続いて、昭和基地管理棟内のスタジオに移動し、重点研究観測を担当している中澤隊員に、ドームふじ基地への内陸旅行やアイスコア研究の概要、越冬明けに行う予定のドームふじでの氷床深層掘削の計画などについて分かりやすく解説してもらいました。また、生徒たちから事前にもらっていた南極での食事や医療に関する質問には、調理担当の香月隊員や医療担当の澤隊員に回答してもらいました。さらに、当日の会場から直接質問を受けるコーナーでは、活発に質問が寄せられたため終了予定時刻を10分ほど延長して、今回の南極授業は無事に終了しました。
実は、前夜からの地吹雪で視程が悪化していたため、一時は屋外からの中継を実施できるか懸念されていましたが、当日朝には視程が回復し、予定していた内容を一部変更しただけでなんとか実施することができました。
また、今回の南極教室は、越冬交代直後から建築隊員を中心に進めてきた改装工事によって新設されたスタジオのこけら落としのイベントになりました。出演者やスタッフとして協力してくれた隊員にはこの場を借りて改めて感謝します。
63次隊では、今年10月までに合計12回の南極教室を開催する予定で、参加する児童や生徒たちが南極観測に興味を持ち、未来の観測隊員が誕生するきっかけとなれば嬉しく思います。
(JARE63 馬場健太郎)